「もったいない」内容でドイツ戦を落としたバレー男子 高橋藍、石川はどう再起を誓うか?

大島和人

見直すべきポイントは?

高橋は無理な攻めを悔いる 【写真は共同】

 日本は7月1日に決勝戦が行われたバレーボールネーションズリーグを準優勝で終えた。石川、高橋、西田有志といった強力な選手を擁し、間違いなく世界のトップを伺える位置にいる。このドイツ戦も彼らの多彩なアタックが出ていて、成功率も決して低くはなかった。特定の誰かが不調だとか、チームに大きな穴があるということもないだろう。

 しかしちょっとした歯車の狂いが、3-1で勝てた流れを「激闘」「惜敗」にしてしまった。日本はここから切り替え、可能なら学びを得て次の試合に向かわなければならない。

 パリ五輪の男子バレーは出場12カ国が3つのグループリーグに分かれて総当たりで対戦し、各組の上位2チームとワイルドカード(3位中の上位)2チームが準々決勝に勝ち上がる方式だ。C組の日本は31日にアルゼンチン、8月3日にアメリカとの対戦を残しており、金メダルの可能性が潰えたわけではない。

 高橋はドイツ戦から得た学びをこう述べる。

「ブロックフォローであったり、フリーボールの処理であったり、今日はそういう部分が少し雑になっていた部分があった。やはり、得点を取るために……なんですかね。普段よりおろそかになっていたので、そういう基礎的なところをもう一度見直さないといけません。そういう部分から、日本のクオリティの高いバレーボールを出せると思うので、次はさらに意識を高くしてやっていかないといけません」

 ボールをしっかり拾ってつなぎ、相手に得点を与えない意識も必要だ。ただ高橋は得点への「力み」をこう言葉にする。

「今日は少し力が入って、無理にブロックを抜きにいっているシチュエーションがすごくあった。それでブロックを食らってしまうシチュエーションも多かった。そこをうまくリバウンドだったり、ブロックアウトだったりにして、ミスにしないことがまず重要なのかなと思います。日本はディフェンス力がすごく高いので、1本で決まらなくても、もう一度ディフェンスをして、切り返していくところを意識する必要があります」

「これで終わるようなメンバーではない」

日本代表は再起を誓う 【写真は共同】

 日本は2023年秋のFIVBパリ五輪予選(OQT)でも、2戦目でエジプトに痛い敗戦を喫している。そこからセルビア、スロベニアといった強敵を相手も含めた4連勝を挙げてパリ五輪出場を決め「緒戦のつまずきから盛り返した」経験は既にしている。

 高橋は敗戦直後の選手同士の会話をこう振り返る。

「OQTでもこのような状況にはなっているので……。ここからでも力を出して、勝っていくしかない。自分たちはもう、そこに切り替えています。グズグズ考えるのでなく、しっかり切り替えて、次の試合に気持ち切り替えていこうと話をしました。

 石川も悔しさをにじませつつ、再起を誓っていた。

「もったいないミスをなくし、取り切るところでしっかり取ることがやはり大事です。それがしっかりできていれば問題はありません。立て直せるというか、立て直すしかないし、もちろん立て直します。ここから上がっていくしかないし、これで終わるようなメンバーではない。この後、またパフォーマンスを皆さんに見せられるように、自分たちのためにも、戦っていきたいと思います」

 ドイツ戦の死闘がただの「もったいない負け」で終わるか、「日本がより強くなるための糧」となるのか――。それは残り試合で決まる。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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