不安抱えるバドミントン日本代表、パリ五輪で銅1個の前回大会を超えられるか
パリ五輪に臨む、バドミントン日本代表 【平野貴也】
ただし、メダル獲得の可能性は確かにあるが、可能性は高いのかと言われると評価が難しい。朴柱奉ヘッドコーチは、日本の位置をメダル争いの「ボーダーライン」と表現する。その上、6月には、前回の東京五輪で銅メダルを獲得した混合ダブルスの渡辺勇大/東野有紗(BIPROGY)や、女子シングルスで3大会連続の五輪出場を果たす山口茜(再春館製薬所)が、負傷で大会を欠場や途中棄権となった。男子ダブルスや女子ダブルスは、かなり厳しい組み合わせとなり、暗雲が漂っている。
前回大会は、銅メダル1個。パリで雪辱を果たす可能性はあるが、早期敗退の可能性もあり、序盤から緊迫した戦いとなる。
混合複は5組の争い、金を狙う渡辺/東野のライバル増加
前回銅メダルの「ワタガシ」ペア。東野(右)の足の回復具合が気がかりだ 【平野貴也】
一方、前回よりもライバルが増え、メダル獲得の難度自体は高まった。上記の中国ペアと、日本、東京五輪金メダルから男子選手が若手に切り替わった馮雪穎/黄東萍(中国)、23年世界王者の徐承宰/蔡侑玎(韓国)、21年世界王者のデチャポル/サプシリー(タイ)の5組がメダル候補だが、その下の層も台頭している。日本は、同組のデンマークペアが出場を辞退したため、グループリーグを3組で争う。
6月に左足首を痛めた東野の動きが、どこまで戻っているかが気がかりだが、準々決勝でトップ4シードとの対戦を避けるため、1位通過ができるかが鍵となる。
山口の復調は間に合うか? 女子単も5強の争い
山口は、過去2大会でベスト8。3度目の五輪挑戦でメダル獲得なるか 【平野貴也】
山口は、昨秋から負傷を繰り返しており、6月の大会は欠場。7月12日に公開された直前合宿の際に「痛みはないけど、スピードも上げていかないといけない。動きは6、7割」と話しており、復調具合が気がかり。特に、早いタイミングでシャトルを触り続ける攻撃的なラリーには、スピードの持続が不可欠。持ち味を出せるかどうかが分からない部分は、不安要素だ。ただ、金メダル候補の最右翼であるアンも負傷を抱えながら勝利を挙げており、できるプレーでどのように試合を組み立てるかという部分も注目される。
不調等で5強体制が崩れれば、ダークホース誕生の可能性が急浮上する。日本勢2番手の大堀は、打倒シード選手を狙う立場。昨秋には戴資穎やマリンを破っており、アップセットを狙える力がある。