柔道の阿部詩・一二三が目指す、史上初の兄妹連覇 スケートボードは表彰台独占なるか【五輪前半の注目は?】

柴山高宏(スリーライト)

【画像制作:スリーライト】

 2021年の東京五輪で金メダル9個、銀メダル2個、銅メダル1個を獲得した、日本のお家芸「柔道」。特に金メダルの数は史上最多で、パリ五輪でもメダルラッシュに期待したいところ。五輪代表に初選出された8選手の中で、注目は1日目(7月27日/現地時間、以下同)に行われる、女子48kg級の角田夏実(SBC湘南美容クリニック)だ。

 2019年に52kg級から階級を変更後、世界選手権3連覇(21年~23年)を達成するなど、快進撃が続く。得意技はともえ投げと関節技で、23年のグランドスラム東京はすべて関節技による一本勝ち。31歳でつかんだ初の五輪では、日本勢のメダル第1号となること、そしてこの階級では谷亮子(04年アテネ五輪)以来となる金メダルの獲得に期待がかかる。

 女子52kg級の阿部詩と男子60kg級の阿部一二三(ともにパーク24)は、史上初となる兄妹での五輪連覇をめざす。

阿部詩(右)・一二三兄妹 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 阿部詩は東京五輪後の2021年秋に両肩の手術を行い、約半年もの間、柔道から離れた。長年の不安を払しょくし、22年と23年の世界選手権を連覇。今年3月にトルコ・アンタルヤで行われたグランドスラムではオール一本勝ちで圧勝するなど、強さに磨きがかかっている。

 一方の兄・一二三は2019年8月の世界選手権を最後に負けがない。今年3月のグランドスラムアンタルヤは妹の詩同様、オール一本勝ちで制すなど、圧倒的な強さを誇る。人気と実力を兼ね備え、「日本選手団の顔」と言っても過言ではない阿部兄妹の戦いを見届けよう。

 他にも、男子は2016年のリオ五輪で銅メダル、21年の東京五輪で銀メダルを獲得し、3大会連続でのメダルに期待がかかる永瀬貴則(旭化成)。東京五輪100kg級覇者のウルフ・アロン(パーク24)。東京五輪60kg級金メダリストの高藤直寿との五輪代表争いを制し、初選出された永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)。日本柔道界初となる親子2代での金メダルをめざす斉藤立(JESグループ)に注目したい。

 女子は78kg超級で東京五輪を制した素根輝(パーク24)に、昨年初めて世界選手権で優勝し、五輪初選出となった新添左季(自衛隊)に注目。3大会連続での出場となる63kg級の高市未来(コマツ)は、悲願の初メダル獲得なるか。

 柔道は8月3日に最終日を迎える。前大会、混合団体の決勝で日本代表はフランス代表に敗れている。雪辱を果たすことはできるか。

体操界の若きエース・橋本大輝

 柔道とともに日本のお家芸と称される「体操」は、東京五輪で個人総合と種目別鉄棒の2種目で金メダルを獲得した橋本大輝(セントラルスポーツ)に注目したい。昨年の世界選手権では、内村航平さん以来となる個人総合での連覇を達成。体操界の若きエースが見せてくれるであろう、メダルを手繰り寄せる躍動感あふれる演技に、期待がかかる。

 団体総合では橋本を中心に、2大会連続での出場となる萱和磨と谷川航(ともにセントラルスポーツ)、初出場の岡慎之助、杉野正尭(ともに徳洲会)の5人で、リオ五輪以来2大会ぶりの金メダルをめざす。

橋本大輝 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 7月27日から8月4日にかけて行われる「競泳」は、ベテランの大橋悠依(イトマン東進)が集大成の舞台に臨む。東京五輪では200mと400m、2つの個人メドレーで金メダルを獲得し、大きな注目を集めた。その後、プロに転向し、今年3月に行われた選考レースでは17歳の成田実生(ルネサンス金町)、22歳の松本信歩(東京ドーム)といった成長著しい若手を振り切って優勝。パリ五輪に200m個人メドレーで2大会連続での出場を決めた。

 男子は東京五輪200mバタフライで銀メダルを獲得した本多灯(イトマン東進)に注目したい。競泳の世界選手権で、2022年から2年連続で同種目において銅メダルを獲得。今年の2月、カタールのドーハで行われた世界選手権では、同種目では日本人初の金メダルを獲得している。

 また、五輪には2大会連続で出場するなど、実績十分な瀬戸大也(CHARIS)は、200m個人メドレーでパリ五輪に出場する。昨秋、拠点をオーストラリアに移し、池江璃花子(横浜ゴム)ら有力選手を指導するマイケル・ボールに師事。「夏は任せてください」と宣言した瀬戸の勝負強い泳ぎに、期待したい。

 競泳同様、7月27日から8月4日にかけて行われる「フェンシング」。東京五輪では男子エペ団体で日本フェンシング界にとって悲願である、初の金メダルを獲得した。今大会、金メダルの最有力候補と謳われているのが、女子サーブルの江村美咲(立飛ホールディングス)だ。

 初出場の東京五輪は個人戦で3回戦敗退、団体は5位に終わったが、その後、急速に力を付けた。2022年、23年と世界選手権を連覇。今年2月に発表された世界ランキングでは2位から1位に浮上した。日本女子初のメダル獲得は、江村の双肩にかかっていると言っても過言ではないだろう。

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