メッツ先発マナイアが大谷を封じた「必然」 同じピッチトンネルを通る2つの球種とは?【NLCS第2戦】
10月14日(現地時間)に行われた、ドジャースとメッツによるナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第2戦。大谷翔平はメッツ先発のショーン・マナイアにタイミングが合わず、3打数ノーヒットに。試合は3対7でドジャースが敗れた 【Photo by Harry How/Getty Images】
なんとか繋いで、ポストシーズンでは走者を置いて8打数6安打の大谷翔平(ドジャース)まで回せば――というところだったが、最悪のダブルプレー。ここで追撃ムードが大きくしぼんだ。
試合後、多くのメディアに囲まれたヘルナンデスは、「あそこで結果を残せれば……」と言ってから少し間を置いて、「ダメだった」と視線を下に向けた。
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マナイアが振り返る大谷との対戦
メッツ先発のマナイア。5回を投げ、被安打2、奪三振7、失点3(自責点2)と、ドジャース打線を翻弄した 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】
となると、いっそのこと、打順を下げる選択肢はあるのか? 試合後、デイブ・ロバーツ監督に対してそんな質問も飛んだが、「特に考えていない」と指揮官はその提案を一蹴した。
「オフェンスに関しては今、決して悪くない。下位打線はいい仕事をして、出塁している。彼の打順を下げるかだが、過剰反応したくない。そもそも、その利点が分からない。翔平には、5回打席に立ってもらいたい。我々のベストヒッターだから」
その上で、今日の打席に関しては、「(ショーン・)マナイアを打ちづらそうにしていた」と言いつつ、無安打のわけを推測した。
「相手は、外、外を攻めてきた。翔平は、内角の球に強い。この攻めは、今後も続くのではないか」
マナイアと対戦した3打席は、空振り三振、見逃し三振、一塁フライ。ヒットが出る雰囲気もなかった。
もう少し噛み砕くと、1打席目、昨日の記事で触れたように、大谷がボールになる外角低めのスライダーを振ることはなかった。しかし、追い込まれてからほぼ真ん中のシンカーを振って空振り三振。スライダーが頭にあったか。
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三回に迎えた、大谷翔平2打席目の配球 【参照:MLB.COM「Game Day」】
3打席目は、外角のスイーパーを珍しく追いかけて一塁フライ。これは逆に、前の打席でシンカーを見送って三振したことが影響していたのではないか。少なくともマナイアにはその意図があった。
「3打席目は、2打席の配球を利用した。あそこに投げれば、今度は振ってくると思った」
同じピッチトンネル(※)を通る2つの球種――それぞれの軌道を利用しない手はなかった。
※ピッチトンネル:米データサイト「ベースボール・プロスペクタス」が2017年1月に定義したもの。ホームベースの手前約7メートルの位置に小さな輪があるとイメージし、もしも複数の球種がその狭い輪の中を通るなら、打者は球種の判断が困難となり、仮にその輪を通過した後で球種を判別できたとしても、もはやボールは打者の手元にあり、反応する時間が残されていない、という理論構成。マナイアはシンカーとスイーパーでピッチトンネルを通し、大谷を翻弄した。