MLBポストシーズンレポート2024

「本当に圧倒的だった」大一番で見せた山本由伸の快投に、大谷も感嘆 連続完封でメッツ戦へ【地区シリーズ第5戦】

丹羽政善

10月11日に行われたドジャースとパドレスによる地区シリーズ第5戦。2対0で勝利して、メッツが待つリーグ優勝決定シリーズへの進出を決めた、ドジャースの大谷翔平(写真中央)とチームメイト 【Photo by Brian Rothmuller/Icon Sportswire via Getty Images】

 勝ったことは、クラブハウスへとつながる通路にいるとき、歓声で知った。

 多くのメディアは、八回裏が終わると5階にある記者席を離れて1階へ降り、クラブハウスでの取材準備を始めた。

 ただ、近くにテレビモニターはなく、インターネットで中継を見ようにもWi-Fiが繋がりにくい場所のため、状況が把握しづらい。そんな中、地鳴りを伴う、球場が揺れんばかりの歓声が、通路にも轟いた。

虎の子の2点を守り抜いた投手陣

第5戦の最終回を託されたブレーク・トライネン。ドジャースは5人の投手による完封リレーで、見事パドレスを退けた 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】

 2対0。シリーズの決着は、意外な形でついた。ドジャースは、ダルビッシュ有(パドレス)に七回途中まで3安打に抑えられた。しかし、そのうちの2安打が、キケ・ヘルナンデスとテオスカー・ヘルナンデスによるソロ本塁打。その2点をドジャースの投手陣が守り抜いた。

「2本目のホームランが痛かった」と話したダルビッシュ。打たれた瞬間、打球に背を向けて叫んだ。

「すごく悔やまれる」

 ドジャースの投手陣は結局、第3戦の二回に6点を許してから、24イニング連続でパドレス打線を無得点に抑えている。

 殊勲は、5イニングを投げて2安打、無失点の山本由伸(ドジャース)か。彼は地区シリーズ初戦の先発を託されたものの、3イニングを投げて5失点。大谷は「(山本は)結構、落ち込んでいた」と明かし、あの日の試合が終わった後、「勝ってよかったな」とそっと声を掛けた。

 今回の山本のピッチングについて、大谷は「いや、もうほんとに、なんて言うんですかね。圧倒して相手を寄せ付けないような、本当に圧倒的だった」と振り返ったが、確信もあった。前回の登板後、大谷はこうも話していた。

「切り替えるんじゃないかなと思う。場数も踏んできている投手ですし、なかなか僕も(プレーオフは)初めてでしたけど、由伸も初めてだったので、次に向けて切り替えていい投球をしてくれるんじゃないかな」

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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