不安抱えるバドミントン日本代表、パリ五輪で銅1個の前回大会を超えられるか
日・中・韓が中心の女子ダブルス、松本/永原は「死の組」戦う
左から志田/松山、永原/松本。「シダマツ」ペアは好調。「ナガマツ」ペアは、厳しいグループリーグの突破からメダルを狙う 【平野貴也】
ともに身長170センチ台の長身ペアである松本/永原は、年明けから持ち直した。しかし、グループリーグは、考え得る最悪の組み合わせとなった。22年10月から世界ランク1位をキープしている陳清晨/賈一凡(中国)と同組となった上、前回金メダルから組み替えたインドネシア、女子選手で世界最速スマッシュのギネス記録を持つ選手がいるマレーシアも同組という「死の組」だ。松本は、知った瞬間に崩れ落ちたと苦笑いを浮かべたが「(どう考えても)気を抜けないから、逆にいいのかなとも思う。まさか3組とも負け越している相手とやるとは思っていなかったけど、初戦から気を抜かず、全力を出し切ることが大事」と気持ちを切り替えていた。
この種目は、2ペアを送り込んでいる日・中・韓の3カ国が中心。中でも陳清晨/賈一凡が頭一つ抜けた存在で、5組が追う。
男子シングルス、次世代エースの奈良岡が初メダル狙う
パリ五輪に出場するメンバーでは最年少の奈良岡功大(左) 【平野貴也】
23年世界選手権で銀メダルの奈良岡功大(NTT東日本)は、次世代の筆頭格。「パリは狙っていなかったし(出場権獲得)レースを回れればいいと思っていた。でも、世界選手権の銀メダルくらいから、もしかすると(パリでの上位も)あるんじゃないかと思うようになった」と頂点までの距離が一気に縮まった感覚を話した。
混戦になっていることをプラスに捉えているのは、29歳で悲願の初出場を果たす西本拳太(ジェイテクト)も同じ。自らをダークホースと表現。「今の男子シングルスは、誰が勝ってもおかしくない。どれだけ自分の土俵に引きずり込めるか」と番狂わせを狙う。
男子ダブルスの保木/小林、異例措置の余波で激戦区に
タン・キムハーコーチの下、強化を続けて来た保木(手前左)/小林 【平野貴也】
日本からは、21年世界王者の保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)が初出場するが、かなり厳しいグループに入った。本来は4ペアずつ4組となるはずだったが、特例措置(※)により、フランスのペアの追加出場が認められ、1組のみ5ペアとする異例の措置が取られたのだが、保木/小林が、その組に入った。しかも、同組には、シードのデンマークペアのほか、東京五輪で金メダルの李洋/王斉麟(台湾)、中国の2番手ペアもおり、最激戦区となった。早期敗退の可能性も出て来たが、保木は「サッカーのワールドカップでも、日本は(強豪の)ドイツとスペインと同じ組になって厳しいと言われていたけど、勝ち上がって勢いが出た。厳しいヤマを抜けることで拓ける景色があると思う。何とかこじ開けていけるように頑張っていきたい」と立ち向かっていく姿勢を示した。
※五輪出場権獲得争いの終盤、BWF(世界バドミントン連盟)による誤ったレースポイントが修正されたが、ミスによって不利を受けたとするフランスの2組目のペアの追加出場が認められた
日本バドミントン協会は、全種目のメダル獲得を目標に掲げているが、コンディションや組み合わせを考えると、厳しい状況だ。前回の銅1個を超えられるかどうか。ハードルの高いグループリーグでどれだけ挑戦者を減らさずに切り抜け、勢いをつけられるか。序盤から目が離せない。