清水との業務提携を延長したマジョルカの野望 CEOが語る日本マーケット進出の狙いとは?
国外の有名企業でもファイナンス部門を担当してきたマジョルカのディアスCEO。クラブの国際化戦略において、日本マーケットを最重要視する 【YOJI-GEN】
久保の存在がブランディングの助けに
マジョルカにはこれまで3人の日本人選手が在籍してきた。2シーズンにわたってプレーした久保が、ピッチ内外で果たした役割は大きかった 【Photo by Manuel Queimadelos/Quality Sport Images/Getty Images】
クラブに来てから8年目になりますが、最初はCFO(最高財務責任者)としてファイナンス部門を統括していました。CEOに就任したのは3年ほど前ですね。それ以前は『ゼネラル・エレクトリック』(アメリカの航空エンジンメーカー)や『LGエレクトロニクス』(韓国の電気機器メーカー)にいて、そこでも主にファイナンス部門を担当していました。
──過去にマジョルカでは、大久保嘉人(2005~06年/引退)、家長明博(10~12年/現川崎フロンターレ)、久保建英(19~20年、21~22年/現レアル・ソシエダ)の3人がプレーしました。ラ・リーガで最も多くの日本人選手が在籍したクラブです。
大久保、家長の両選手については、まだ私がマジョルカにやって来る前でしたので多くを語ることはできませんが、久保選手に限らず、とてもプロ意識が高く、ファン対応が丁寧で、なおかつ豊かなタレントの持ち主が多い印象が、日本人選手にはありますね。
──久保選手にはどういったイメージをお持ちですか?
違いを生み出してくれる選手。とにかくタレント性があって、オフ・ザ・ピッチでもプロ意識を高く保ち、ムードメーカーの役割も担っていた。周囲に良い影響を与えてくれる彼のような選手は、クラブにとって非常に大切な存在でした。
──久保選手がマジョルカにいることで、経済的なメリットもあったのでは?
日本におけるマジョルカの認知度、試合の視聴率が上がりましたし、クラブのブランディングにおいて大きな助けになりました。なにより、『株式会社タイカ』(多機能素材『αGEL』の開発・製造・販売などを主事業とする化学メーカー)とメインスポンサー契約を結ぶ上で、久保選手の存在は決定的な要素でした。スポーツ面での貢献は言うまでもありませんが、大きな経済効果があったことも否定しません。
──国際戦略の中で日本のマーケットをどのように位置付けていますか?
メインスポンサーが日本企業ですし、当然ながらクラブの国際化の中で日本のマーケットは最重要視しています。こうして我々が頻繁に日本を訪れてプロモーション活動をすることで、さらにブランドイメージを高めていければと考えています。
──今後、日本以外のアジアの国々にもマーケットを拡大する予定はありますか?
アジアについては現状、日本にフォーカスしています。その他のマーケットで言うと、北欧ですね。マジョルカは北欧から年間1400万人ほどの観光客を受け入れていますから。あとはクラブのオーナーがアメリカ人で、2026年には北中米ワールドカップも開催されるので、北米のマーケットにも力を入れていくつもりです。