週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#10】春に評価を上げた高校生ショート!スピード抜群の斎藤大翔、打撃も魅力の今坂幸暉

西尾典文
 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。

 今回はこの春に大きく評価を上げている高校生ショート2人を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)

*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:2位以上の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚

「スピードとスローイングが抜群。北信越No.1ショート」

素早く正確な送球と俊足が武器の斎藤大翔。総合力の高さは全国でも屈指 【写真提供:西尾典文】

斎藤大翔(金沢 3年 遊撃手 181cm/76kg 右投/右打)

【将来像】大型の今宮健太(ソフトバンク)
スローイングの速さ、プレーのスピード感は今宮に重なる。リストの強い打撃も特長

【指名オススメ球団】広島
二遊間を守れる右打の若手選手が不足しているチーム事情から

【現時点のドラフト評価】★★★☆☆
上位指名の可能性あり

 昨年ドラフト指名された選手で、最終学年で最も評価を上げた選手と言えば横山聖哉(上田西→オリックス1位)ではないだろうか。そして今年、同じ北信越地区のショートでこの春に急浮上してきたのが斎藤だ。石川県のチーム関係者からその評判を聞いたのは選抜高校野球のとき。調べてみると昨年夏の石川大会でも3本のホームランを放っているという(うち1本はランニングホームラン)。そしてそれ以上にショートとしての総合力が高いという話を聞き、4月30日に行われた春の石川県大会、対金沢桜丘戦に足を運んだ。

 まず目についたのがシートノックで最初に行われた“ボール回し”だ。ボールをキャッチすると、素早く小さい動きで送球動作に入り、そこから目を見張るような勢いのボールを投げていたのである。今年の金沢は斎藤以外にも力のある選手が揃っていたが、それでも送球のスピードは明らかに一人だけレベルが違うものだった。これは大学生や社会人に入っても目立つことは間違いないだろう。冒頭で触れた横山は“強肩”という印象でどちらかというと大きく体を使って強いボールを投げていたが、斎藤は肘と手首の強さが感じられる点が異なっている。無駄な動きもないため、送球のスピードが速いだけでなく、正確さも特長だ。ゴロへの対応も素早く動きながらバウンドを合わせ、ボールへの入り方に余裕があるため、ほとんどの打球をワンステップで処理することができている。守備に関しては横山と比べても全く遜色ない印象を持った。

 もうひとつの斎藤の大きな武器がそのスピードだ。第2打席でレフトへのツーベースを放ったが、このときの二塁到達タイムは7.78秒をマークしている。セカンドまでのタイムは8.00秒を切ればかなりの俊足と言われており、右打席から7.7秒台のタイムを出せる選手はなかなかいるものではない。また単純に脚力があるだけではなく走塁への意識も高い。ツーベースで出塁した後は相手の暴投ですかさず三塁を陥れており、第4打席にツーアウトから四球で出塁した後には後続のショートフライでも足を緩めることなく三塁まで駆け抜けていた。

 昨年夏に3本塁打を放ったというバッティングに関しては、少し力任せに引っ張る傾向が強く、高いレベルの投手への対応には疑問が残ったものの、それでもタイミングのとり方はゆったりしており、リストの強さも目立った。昨年秋から体重も増やしたとのことで、フィジカル面への意識の高さが見られるのもプラス要因だ。

 春の県大会には全12球団のスカウトが視察に訪れ、中には繰り返し視察した球団もあったという。ショートとしての総合力の高さは間違いなく全国でも屈指なだけに、夏の活躍次第では上位指名も見えてくるだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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