【週刊ドラフトレポート#07】満を持して復調した法政大の157キロ右腕・篠木 関西No.1右腕・林は安定感抜群
今年の大学生投手は以前のレポートでも紹介した金丸夢斗(関西大)と中村優斗(愛知工業大)が目玉と見られていますが、今回は彼らに次ぐ存在になりそうな右腕2人を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)
*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:2位以上の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚
「実績、知名度は世代でも屈指。この春は安定感も確実にアップ」
投手としてのポテンシャルが高い法政大・篠木健太郎。安定感を維持することができるか 【写真提供:西尾典文】
【将来像】則本昂大(楽天)
躍動感のあるフォームと、打者の手元で鋭く変化する変化球などのイメージが重なる
【指名オススメ球団】DeNA
若くて勢いのある先発候補が補強ポイント
【現時点のドラフト評価】★★★★☆
1位指名の可能性あり
今年の大学4年生の中で、最も早くから2024年のドラフト上位候補と言われていたのがこの篠木だ。木更津総合では多くの好投手がいる中で入学早々投手陣の一角に定着し、1年夏には甲子園でも登板。甲子園出場はこの1回だけだったが、その後も順調に成長を続け、3年夏に行われた千葉県の独自大会でもチームを優勝に導いている。高校卒業時点でプロ志望届を提出していれば、指名の可能性は極めて高かっただろう。
法政大でも2年春から主戦となると、リーグ戦後に行われた大学日本代表候補合宿では157キロをマーク。この時期の合宿が行われている平塚球場のスピードガンは少し速く出やすいことで有名だが、それでもこの数字は参加した全選手の中でトップであり、2年生ながら1人だけ代表にも選出されている。
しかしその後は決して順風満帆だったわけではない。3年春はリーグトップの防御率0.68を記録したが、秋はシーズン中に右肩の違和感を訴えて途中離脱。昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿の紅白戦ではスピードもコントロールも明らかに本調子とは程遠い内容で、視察したスカウト陣からも心配の声があがっていた。
そんな中で迎えた最終学年だが、結論から言うと現時点では不安を払拭するだけのピッチングを見せていると言ってよいだろう。筆者は4月27日に行われた慶応大との試合を現地で見たが、6回を2失点(自責点1)、7奪三振の好投で勝ち投手となっている。150キロ台を連発していた昨年は躍動感こそ素晴らしいものがあったが、重心の上下動が大きく、またリズムも単調でスピードがある割に打者に合わせられやすいという印象が強かった。しかしこの春はスピードを少し抑え(慶応大戦の最速は149キロ)、どの球種も精度が明らかに上がっているように見える。高校時代はどちらかというとこのスタイルであり、体への負担も考えてその引き出しを開けたとも言えるだろう。
ストレート以上に素晴らしかったのが変化球で、130キロ台前半のスライダーは打者の手元で鋭く横に滑り、140キロ弱のフォークもブレーキは十分だった。見出し的には150キロ以上を連発した方が目を引くかもしれないが、大事なのは当然結果であり、この原稿を書いている時点(5/22)で6試合に登板して3勝2敗、防御率1.27という成績は見事という他ない。
ただ一方でまだ気になる点があるのも事実だ。テンポ良くどんどん投げ込み、簡単に打ちとるシーンが目立つ一方で、時折リズムが単調になって痛打を浴びるケースも多いのだ。前述した慶応大戦でも許した2点は先頭打者からの連打からの失点と、甘く入ったボールをスタンドに運ばれたものだった。素晴らしいボールを投げながら、昨年秋までの通算成績が8勝7敗と勝ち負けが均衡しているのはこのあたりに原因がありそうだ。
それでも投手としてのポテンシャルの高さは疑いようがなく、今年の東京六大学野球を代表する投手であることは間違いない。残りのリーグ戦でも現在の安定感を維持することができれば、1位指名も見えてくるだろう。