週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#10】春に評価を上げた高校生ショート!スピード抜群の斎藤大翔、打撃も魅力の今坂幸暉

西尾典文

「春は履正社、大阪桐蔭を撃破。大阪で注目の万能型ショート」

今坂幸暉を擁する大阪学院大高は、春の大阪府大会で履正社、大阪桐蔭を破って優勝を果たした 【写真提供:西尾典文】

今坂幸暉(大阪学院大高 3年 遊撃手 178cm/80kg 右投/左打)

【将来像】木浪聖也(阪神)
攻守のバランスが良く、パンチ力と積極性のある打撃が木浪に重なる

【指名オススメ球団】西武
源田、外崎の後釜候補として獲得を狙いたい

【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 この春、大阪で大きな話題となったのが大阪学院大高だ。春の大阪府大会では長年2強として大阪を牽引している履正社、大阪桐蔭を破って優勝。ちなみに同じ大会でこの2校両方に勝って優勝したのは2009年夏のPL学園以来のことである。そしてそんなチームでプロから高い注目を集めているのがショートの今坂幸暉だ。

 今坂は山口県の出身で、中学時代は福岡の苅田ボーイズでプレーしており、3年春には全国大会にも出場している。大阪学院大高でも1年秋からショートのレギュラーとなり、昨年夏の大阪大会では3試合で10打数7安打、1本塁打という見事な成績を残した。スカウト陣から今坂の名前が聞こえ始めたのはこの頃からである。しかし秋の大阪府大会3回戦で大阪偕星に敗れたこともあって、多くの目に触れられることはなかった(大阪は4回戦までは学校のグラウンドを使用していることも多く、試合を公開していない)。

 ようやく今坂のプレーを見ることができたのは5月11日に行われた春の大阪府大会準決勝の大阪商業大高戦だ。3番、ショートで出場した今坂は1点を追う5回の第3打席で逆転のタイムリーツーベースを放ち、これが決勝点となり、チームの勝利に大きく貢献した。まずバッティングで目立ったのが鋭い振り出しと積極性だ。この日は4打席に立ち、3打数1安打1犠打という成績だったが、ストライクを見逃したのは三振に倒れた第1打席の1球だけ。先述したタイムリーツーベースも初球を振り抜いたものであり、甘いボールを見逃さずに打ちに行くという姿勢が光った。それを可能にしているのは打撃技術の高さだ。

 178cmとそこまで大柄なわけではないが、バットを高く上げて大きく構え、小さな動きでトップの形を作り、ボールを長く見ることができている。力むと少し顎が上がり、ミスショットもあったが、それでもスムーズに振り出すことができており、タイムリーツーベースも風がなければホームランという当たりだった。決してスラッガータイプというわけではないが、高いレベルでもある程度長打を期待できるだけのポテンシャルの高さがあることは間違いないだろう。第4打席にノーアウト一塁からセーフティバント(記録は送りバント)を狙ったときの一塁到達タイムも3.67秒を記録しており、脚力でも目立つ存在だ。

 ショートの守備でもフットワークの良さと、長い距離のスローイングの強さは目立ち、能力の高さは十分に感じることができた。一方でシートノックでは簡単なゴロを捕球し損ない、短い距離のスローイングで送球が低くなるなど、少し丁寧さに欠ける部分があるのは課題である。ただ一つ一つの動きに躍動感があり、脚力と肩の強さは申し分ないだけに、このあたりは上のレベルでしっかり鍛えていけば解消される可能性は高そうだ。

 近畿大会では初戦で須磨翔風に敗れ、今坂自身もノーヒットに終わったものの、この春の大阪府大会での躍進で評価を上げたことは間違いない。夏には厳しいマークにあうことが予想されるが、その中でもしっかり結果を残すことができれば、目標とする高校からのプロ入りの可能性も高くなりそうだ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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