【週刊ドラフトレポート#09】長打と強肩が魅力のドラ1候補・渡部聖弥 複数入札もあり得るスラッガー・西川史礁
今回は6月10日に開幕する全日本大学野球選手権で最注目と言える2人の強打者を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)
*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:2位以上の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚
「大学球界屈指の長打力と強肩、大舞台での強さも大きな魅力」
本職はセンターだがサードもこなせる渡部に集まるスカウトの目は決して少なくない 【写真提供:西尾典文】
【将来像】内野も外野も守れる牧秀悟(DeNA)
長打力と確実性を兼ね備えた打撃は牧と重なる。肩の強さと脚力は渡部が上。
【指名オススメ球団】広島
センター、サードを守れて長打力のある右打者はチームの補強ポイントとマッチ
【現時点のドラフト評価】★★★★☆
1位指名の可能性あり
過去10度のシーズンで8度優勝を果たすなど、関西六大学野球の盟主と言える存在となっている大阪商業大。昨年も上田大河(西武2位)、高太一(広島2位)の投手2人が上位指名を受けるなど、これまで多くの選手をプロに輩出しているが、野手で歴代ナンバーワンの呼び声が高いのが渡部だ。広陵では宗山塁(明治大)と同期で、2年春には1番サードで選抜高校野球にも出場しているが、当時はそれほど目立つ存在ではなかった。
それでも大学では1年春から外野のレギュラーに定着し、いきなりベストナインを受賞。続く大学選手権の東亜大戦でのプレーを見たが、まずシートノックでのセンターからのスローイングが見事で、バッティングも当時4年で4番を打っていた福元悠真(現・中日)と比べても遜色のない鋭いスイングを見せていたことをよく覚えている。2年春には首位打者、2年秋にはリーグ記録となる1シーズン5本塁打をマーク。3年春の大学選手権では3試合で12打数8安打(1本塁打)と打ちまくり、続く日米大学野球でもホームランを放つなど、昨年の時点で既に大学球界を代表する打者の1人となった。
そんな渡部のこの春のプレーを見たのは4月6日に行われたリーグ開幕となる大阪学院大との試合だ。まずスカウト陣にアピールを見せたのが試合前のシートノックでのプレーだ。センターでの出場だったが、この日はサードでもノックを受けると、本職の内野手と変わらない動きとハンドリングを披露。一塁へ一直線に届くスローイングの勢いも圧倒的なものがあった。元々高校時代はサードとしてプレーしていたが、高いレベルでも内野をこなせる可能性は高いだろう。試合後、本人に守備について話を聞いたときも、全く違和感なくこなすことができているとのことだった。ちなみにリーグ最終戦となった5月20日の大阪経済大戦では三塁手としてフル出場しており、ゴロとフライを難なく処理している。センターから見せる強肩も素晴らしいものがあり、もちろん外野手としての能力の高さも十分だ。
最大の注目ポイントであるバッティングはこの日はショートへの内野安打1本に終わったが、それでも持ち味は十分に見せている。特に驚かされたのが9回の第5打席だ。低めの変化球に少し体勢を崩され、軽く払うようなスイングだったものの、それでも打球はセンターのフェンス手前まで届く大飛球となったのだ。この飛距離にはスタンドからも思わずどよめきの声があがっていた。4月27日の京都産業大戦では低めのストレートを同じように軽く払うスイングでセンターバックスクリーンへ飛び込む満塁ホームランも放っている。昨年の大学選手権ではライトにもホームランを放っており、広角に大きい当たりを打てるという意味では今年の大学生の中でもトップの存在と言えるだろう。
春のリーグ戦トータルで見ると、厳しいマークとプレッシャーもあってか打率は.220と低調な数字に終わったが、それでも打撃の内容は決して悪かったわけではない。これまで5度出場した全国大会で通算.476という打率を残しているというのも見事だ。今年も全国の大舞台で、春のリーグ戦での鬱憤を晴らすような打撃を見せてくれることを期待したい。