【週刊ドラフトレポート#06】大型左腕のヤマハ・沢山優介、上位指名へアピールなるか? 日本生命・石伊雄太は稀少な即戦力捕手
今回紹介するのは沢山優介(ヤマハ)と石伊雄太(日本生命)。今年の社会人は昨年の度会隆輝(ENEOS→DeNA1位)のような目玉は不在で、全体的に候補も少ないと見られていますが、その中でも注目の2人を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)
*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:2位以上の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚
「チームの主戦へ成長!高校時代から注目の大型左腕」
【写真提供:西尾典文】
【将来像】スピードのある伊藤将司(阪神)
伊藤ほどの精度はまだないが大型でも制球力高い。ストレートの勢いは社会人時代の伊藤以上
【指名オススメ球団】ロッテ
球威で押せる左の先発候補が補強ポイント
【現時点のドラフト評価】★★★☆☆
上位指名(2位以上)の可能性あり
昨年は松本健吾(トヨタ自動車→ヤクルト2位)、森田駿哉(Honda鈴鹿→巨人2位)の2人の社会人投手が上位指名を受けたが、今年は現時点で上位指名間違いなしという社会人投手は不在だ。その中でもここから浮上してくる可能性を秘めた存在として沢山の名前を挙げたい。掛川西時代から大型サウスポーとして評判だった投手で、初めてプレーを見たのは2021年3月に行われた静岡高校との練習試合だった。
当時の沢山はスピードこそまだ140キロ程度だったものの、とにかくよく腕が振れ、大型でありながらコントロールも悪くない印象を受けたことをよく覚えている。その後に行われた春の東海大会でもその印象は変わらず、3試合全てにリリーフで登板して無失点と好投し、チームの優勝にも大きく貢献した。高校からプロ入りを希望すれば十分に指名の可能性もあったように思われるが、プロ志望届は提出せずに地元社会人のヤマハへと進んでいる。
社会人での過去2年間は層の厚い投手陣ということもあって出番は少なかったが、それでも1年目の都市対抗予選で短いイニングながら3試合に登板しているところにチームの期待の高さがよく表れている。迎えた3年目の今年、春先の紅白戦で150キロをマークしたという話が入ってきた。そして実際にピッチングを見られたのは3月11日に行われた東海地区社会人と愛知大学野球連盟の対抗戦、対中京大戦である。
先発のマウンドに上がった沢山は立ち上がりから安定したピッチングを披露。最終的に6回を投げて被安打5、四死球0、3奪三振で無失点にまとめ、非公式戦ながら勝利投手となった。テイクバックで少し左肩が下がるのは高校時代から変わらないが、左右に体が振られることがなく、高い位置から縦に腕を振れるのが大きな長所だ。体重移動のスピードとフォームの躍動感は確実にアップしており、腕の振りも力強くなった。ストレートは150キロには届かなかったものの、最速147キロをマークし、コンスタントに145キロ前後を記録。ストライクゾーンで勝負することができており、18個のうち12個がフライアウトで、その半分の6個が内野フライと打者をしっかり押し込んでいた。
ストレートは確実にレベルアップした印象を受けたが、一方で課題と感じられたのが変化球だ。チェンジアップはブレーキのある面白いボールだが、まだコントロールは不安定に見える。逆にスライダーはしっかり制球することはできていたものの、120キロ台前半から中盤でスピードは物足りず、変化も少し早いため決め球としては不十分という印象だった。ストレートで押し込みながら、奪三振が3と少なかったのはこのあたりに原因があると言えそうだ。
ただ高卒3年目ということを考えると、これだけスケールの大きいサウスポーはなかなかいるものではない。4月上旬に行われたJABA静岡大会でも2試合を無失点に抑え、新人賞を受賞するなど公式戦の結果がついてきていることもプラス材料だ。5月下旬から始まる都市対抗予選、そして7月の都市対抗本選でもしっかりアピールすることができれば、一気に上位候補へと浮上してくる可能性もあるだろう。