プロ野球「新人王レース2024」最前線レポート

巨人の勝ちパターンを担うルーキー西舘勇陽の胸の内 セットアッパーとして大切にする「1」へのこだわり

前田恵
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開幕から10試合連続無失点をマークし、勝利の方程式の一角としてチームに貢献するドラフト1位ルーキー・西舘勇陽 【写真は共同】

 2023年10月のプロ野球ドラフト会議で、東都大学野球連盟から総勢7人の投手が1位指名を受けた。そのうちの一人が、中央大学から巨人入りした西舘勇陽投手。“東都7人衆”の5人までが調整不足や故障で出遅れる中、開幕からセットアッパーとして実績を重ねている。セ・リーグ新人最多となる「10試合連続ホールド」達成を目前にした西舘投手に、話を聞いた。(取材日:4月24日 ※翌25日の中日戦で10試合連続ホールドを達成)

大学時代の経験が生きたプロでの第一歩

――早くも新人王の有力候補に挙げられています。「新人王」という賞について、今の率直な気持ちから教えてください。

 シーズンが始まって、まだ1カ月というところですので、全く意識はしていないです。結果としての振り返りは、シーズンが終わったあとにできればいいと思っています。

――入団会見の際、今季の抱負を「1年間、一軍に帯同すること」とおっしゃっていましたね。そのなかには、どんな意味が込められていたのでしょうか。

 これまで4年間プレーしてきた(東都)大学野球は、春秋の2シーズンで、夏場はリーグ戦の疲れをいやす時期になっていました。プロのように1年を通してリーグ戦を戦った経験がないので、まず「プロの世界に慣れる」という意味合いも込めて、ケガなく1年間投げ切ることを目標にしたいと思いました。もちろん、「1年間一軍にいる」ということは、あるレベルの成績を残しているという意味でもあります。そこを目指しながら、自分も成長できればいいなと思っています。

――自主トレ、キャンプではまず、どんな学びがありましたか?

 練習やトレーニングを大事にしながらも、一方で休息も欠かしてはいけないということですね。「1年間は長いから、新人だからといってあまり飛ばし過ぎないように」と周りの方からアドバイスしていただき、オープン戦に入るまではやや抑え気味に調整。そこから徐々に上げていき、いい状態で開幕に入ることができました。シーズンに入ってからは、心身をケアし、いかにリフレッシュして次の日の試合につなげるかが大事だなとより強く感じています。

――オープン戦では先発とリリーフの両方を経験しました。それぞれ、どんな感触を得ていましたか?

 大学時代も先発、リリーフ両方で投げていましたので、肩の作り方など、まずは大学時代の通り試してみました。それから先輩方にいろいろ聞いてみたところ、それほど見当はずれなことはしていなかったので、自分の調整方法で合っていたのかなと思いました。

開幕1カ月で手にした収穫と課題

4月25日、7回に登板した西舘(写真左)は三者凡退に抑え、新人タイ記録の10試合連続ホールド(デビューからは史上初)を挙げた 【写真は共同】

――3月半ばごろ、「セットアッパー」という持ち場が決まったときの気持ちは? 
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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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