プロ野球「新人王レース2024」最前線レポート

好調ドラゴンズを支える「忍者」田中幹也 “1年遅れのルーキー”が打って守って魅了する

瀬川ふみ子
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ホーム開幕戦で値千金の同点タイムリーを放った田中幹也。今季初勝利に貢献してお立ち台にも上がり華々しい本拠地デビュー戦を飾った 【写真は共同】

 人は彼を“忍者”という。打球が飛んできそうな場所にササササッと動いてその時を待ち、打球音が鳴った直後にはもう、そこにいる。抜群のグラブさばきで捕球し、捕って投げるまでの速さも目にもとまらぬほど。軽快に、時に体勢を崩しながらのジャンピングスローで華麗に“敵を仕留めていく”様は、まさに“忍者”だ。入団1年目の昨年は、レギュラー取り寸前までいきながら、右肩脱臼の大ケガを負い、リハビリ生活を強いられた。それを乗り越えた今、うっぷんを晴らすかのような生き生きとしたプレーでファンを魅了している“竜の忍者”。ここまでの自身の活躍について聞いた。(取材日:4月18日)

苦しみの先にたどり着いた舞台

――入団初年度の昨年は一軍・北谷キャンプを完走。オープン戦では一時首位打者に浮上する活躍をしていながら、3月19日のオープン戦で右肩脱臼をしてしまい、手術、そして長いリハビリ。どんなことを思い、どんなことが支えになって過ごしていたのでしょう。

「やっちゃったなー」っていうのが一番にきました。開幕戦をテレビで見て「そこにいるはずだったのに……」とも思ったのですが、来年、グラウンドに立つことだけを考えてやっていました。近くに岩嵜翔さん、大野雄大さん、岡田俊哉さんたちもいて、「焦るなよ」っていう声を常にかけていただいていたので、ありがたかったです。

――9月のウエスタン・リーグで、代走、代打で出場。少しでも出られたことが今年につながったかと思います。

 一年間、何もせずに終わりになるよりは、最後に少しでも出られたことが良かったですし、順調にいった結果かなと思います。オフは肩のことを一番に考え、リハビリメインではありながら、徐々に実戦の方につなげながらやっていきました。

――2年目の今年は二軍・読谷キャンプを無事完走。春季教育リーグで実戦経験を積み、3月8日に一軍合流。しっかりアピールをして開幕一軍どころか、“2番・セカンド”のスタメンの座をつかみました。どんな気持ちでしたか?

 開幕スタメンを聞いたとき、最初は「えー!」って思ったのですが、「やるしかない!」と。必死になってチームの勝ちにつながるようなプレーをしたいなと思いました。

――デビュー戦(ヤクルト戦)は、東海大菅生高校時代、亜細亜大学時代と、何度も試合をしてきた神宮球場でしたね。

 一番慣れていて、やりやすい球場で開幕を迎えられるというのは良かったかなとも思います。

――1回表にさっそく最初の打席へ。どんな気持ちでしたか?
 
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