データで見る12球団の若手有望株パ・リーグ編 由伸の穴を埋めるオリックス期待の逸材は?

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3年目を迎える松川の今季はどうなる?

ロッテ:2023年二軍投手成績 【データスタジアム株式会社】

 ロッテの投手陣は、有望株がさまざまな起用を経験しながら芽を出しつつある。2022年ドラフト1位・菊地吏玖は、二軍で先発を中心に多くの実戦を経験。与四球率2.11とコントロールの良さを示すと、秋季教育リーグでは主にリリーフとして登板し、力強い直球を投げ込んで今後に期待を持たせた。同じくプロ1年目を過ごした田中晴也は体づくりに重点を置きながらも、二軍で先発を含む5試合に登板。奪三振率、与四球率で優れた数字を残し、少ない登板機会でポテンシャルの高さを示した。

 その一方で、2年目を終えた秋山正雲は、前年から各成績を悪化させてしまった。球速の物足りなさが顕著となっており、今季はスピードの向上など球威の改善を図っていきたい。中森俊介は昨季のクライマックスシリーズでマウンドに上がるなど、着実に成長してはいるものの、決め球の弱さが課題となりつつある。今季はこの壁を乗り越え、年間を通した活躍を見せたいところ。最後に、この中で最年長の森遼大朗を紹介する。昨季はフォークボールの質が向上したことで、奪三振率が5点台から8点台へと上昇した。それに伴い被打率が改善し、投球の安定感が増して防御率2.44を記録した。ただ一軍では4月にプロ初勝利を挙げて以降は苦戦が続いたため、今季は前年のリベンジを果たし、年間を通して先発ローテーションの役割を担いたい。

ロッテ:2023年二軍野手成績 【データスタジアム株式会社】

 一方の野手は、藤原恭大や友杉篤輝など早期に一軍定着した選手が多い事情もあり、二軍で秀でた成績を残す若手選手は少なかった。ルーキーイヤーに一軍で76試合に出場した松川虎生は前年から一転し、昨季は主に二軍でプレー。9月には課題としていたバッティングで打率4割を残すも、トータルでは寂しい成績となっている。バットに当てる能力は悪くないものの、打球の弱さが課題となっており、コンスタントに成績を残すにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 松川と同期入団の池田来翔は、3・4月に二軍で3割を超える打率にOPS.817をマーク。5月には一軍で月間打率.373を記録してブレークが期待されたが、同月末に右手薬指を骨折してしまい、以降は二軍でも低調な成績で終わってしまった。今季のチームは藤岡裕大がショートからセカンドに、中村奨吾がセカンドからサードにコンバートされる見込みで、内野手のポジション争いは加熱している。池田がコンディションを整え、昨季序盤の打棒を取り戻せるようであれば、面白い存在になるかもしれない。

成長が楽しみな外野の3選手

オリックス:2023年二軍投手成績 【データスタジアム株式会社】

 先発ローテーションを支え続けてきた山本由伸、山﨑福也の穴埋めが求められるオリックス。ドラフトで支配下の新人投手が5人加わったが、二軍にも期待の若手有望株がそろっている。左腕の曽谷龍平は二軍で奪三振率9.28、与四球率1.81と優秀な成績をマーク。一軍ではわずか1勝にとどまったルーキーイヤーから、今季はさらなる飛躍が期待される。同じく1年目から頭角を現したのが齋藤響介だ。高卒ルーキーながら二軍で被打率.169、防御率2.25と実力を発揮。シーズン終盤には一軍デビューを飾るなど、ポテンシャルの高さをのぞかせた。

 さらに育成選手では、角度のあるストレートが武器のサウスポー、佐藤一磨がウエスタン・リーグ最多の8勝をマークすると、川瀬堅斗は平均球速が前年から約3キロ向上し、台湾のウインターリーグでは全体4位の防御率0.95をマーク。また、150キロ台の力強い直球と落差のあるフォークが武器の才木海翔も、同じく台湾のウインターリーグで10イニングを投げて無失点15奪三振と飛躍の気配を漂わせている。ドラフトで加入した新人も含めて若手投手陣が充実しており、将来の展望は明るいものとなっている。

オリックス:2023年二軍野手成績 【データスタジアム株式会社】

 一方、野手では外野手登録の若手3選手がアピールを見せた。3年目を迎える池田陵真は、ウエスタン・リーグで首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得。日本シリーズの舞台でもスタメン起用されるなど、首脳陣の期待の大きさをうかがわせた。起用の幅を広げるべく秋季キャンプでは捕手の練習にも取り組むなど、チャレンジ精神にあふれている若手だ。

 次に、盗塁王のタイトルに輝いたのが渡部遼人だ。20盗塁を記録した脚力は広い守備範囲にもつながっており、センターの守備指標でもリーグトップの数値を記録した。一軍の外野陣は守備力に不安を抱えるメンバーが多いこともあり、代走や守備要員としての期待も高まりつつある状況だ。渡部と同じく、外野の守備指標で優れた数値を記録したのが杉澤龍。ルーキーイヤーの昨季はセンターとライトを中心に守ったが、両ポジションでリーグ上位の守備力を見せている。打撃成績は二軍平均に届かなかったものの、鋭い当たりの凡打も多く今季は楽しみな存在だ。

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