データで見る12球団の若手有望株パ・リーグ編 由伸の穴を埋めるオリックス期待の逸材は?

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若返りが期待される投手陣、候補となるのは

楽天:2023年二軍投手成績 【データスタジアム株式会社】

 昨季は一軍のチーム防御率がリーグワーストの3.52に終わるなど、投手陣の整備が急務とされる楽天。先発陣の柱だった則本昂大が抑えに転向しており、若手先発投手の台頭が待たれる状況だ。二軍では松井友飛がローテーション投手として好成績を残しており、飛躍が期待される。昨季は2ストライクからの決め球に課題を抱えていたため、そこがクリアできれば一軍での活躍につながるだろう。年齢的には若手とはいえないが、2年目の小孫竜二がリリーフで期待される存在だ。二軍の平均球速を上回るストレートが特徴で、奪三振率をはじめ好成績を収めている。一方で、投球の多くがストレートとスライダーの2球種のため、カウント球を打たれるケースが目立っている。この課題を克服できると、一軍のブルペン陣に食い込むことができるはずだ。

 そして、球速に関しては、育成の清宮虎多朗が別格のスピードを誇る。平均で150キロを上回るストレートが持ち味で、昨季はイースタン・リーグの最多セーブを記録している。ただし、変化球の精度に難があるため、不安定な成績となっている。今季はストレート以外の球種を磨き、支配下登録を勝ち取りたい。

楽天:2023年二軍野手成績 【データスタジアム株式会社】

 野手は、近年のドラフト組からは中軸を担う選手が出てきていない現状だ。その中で、二軍で一定の成績を残したのが安田悠馬である。入団2年目の昨季は打率.309、OPS.815と打棒を発揮し、一軍の出場数を前年から大きく増やした。恵まれた体格を生かした「打てる捕手」として、太田光らとの正捕手争いを勝ち抜きたい。正二塁手の座を狙う黒川史陽は打率.307をマークするなど、ここ数年は二軍で一定以上の成績を残し続けている。浅村栄斗がサードへコンバートされる見込みの今季は、大きなチャンスのシーズンといえるだろう。

 入江大樹は二軍でチームトップの107試合に出場し、ショートとして多くの経験を積んだ。713イニングを守って失策が5つと堅実な守備を持ち味としており、今江敏晃監督からもブレーク候補として期待されている。外野手では、武藤敦貴が選球眼に優れたアプローチで4割に迫る出塁率を記録した。守備ではセンターで優れた守備指標を記録しており、将来的には辰己涼介のようなレギュラー選手に成長を遂げたい。

ソフトバンクは今季から投手専念の小林に注目

ソフトバンク:2023年二軍投手成績 【データスタジアム株式会社】

 ソフトバンクでは、救援陣に割って入る存在として注目したいのが尾形崇斗だ。二軍では高い奪三振率をマークするなど、クローザーとして抜群の成績をマーク。ウエスタン・リーグの最多セーブ賞に輝き、ファーム日本選手権では胴上げ投手となった。日本ハムから移籍してきた長谷川威展は二軍で34試合に登板し、被打率.201と安定した成績を記録。貴重な左のリリーバーとして、新天地で存在感を示したいところだ。先発陣では、同学年の松本晴、木村光が二軍で安定した数字を残した。昨季のチームはローテーション投手の不安定さが目立っただけに、新しい風を吹かせる存在になりたいところ。

 また、2019年のドラフトで野手として入団したものの今季から投手に専念する小林珠維を取り上げたい。投打二刀流としてプレーした昨季は、二軍戦での登板はなかったものの、非公式戦では30試合以上に登板。150キロに迫るストレートには球威があり、四国アイランドリーグplusとの交流戦では、計8イニングを投げて無四球と制球力の良さも示している。現時点では同じく野手から投手に転向した中日・根尾昂ほどの話題性はないが、特異な経歴だけでなく実力の面でも注目したい若手の1人だ。

ソフトバンク:2023年二軍野手成績 【データスタジアム株式会社】

 野手では、リチャードがともにリーグトップとなる19本塁打、56打点をマーク。4年連続のウエスタン・リーグ本塁打王に輝いたものの、同時に二軍の平均値を大きく上回る三振割合を記録してしまった。一軍ではよりレベルの高い投手と対戦するため、なかなかレギュラーをつかめていない状況が二軍の成績にも表れている。そんなリチャードに対して、バットコントロールと選球眼で卓越した成績を残しているのが野村大樹だ。本塁打は0本ながら三振を大きく上回る四球を選んでおり、2年連続で4割を超える出塁率を記録している。

 また2020年のドラフト1位・井上朋也は、シーズン終盤に一軍でプロ初アーチを放つなど順調な成長を見せている。若手内野手が期待を持たせる活躍を見せているものの、彼らの本職であるポジションには中村晃や栗原陵矢、新加入の山川穂高らが高い壁としてそびえ立つ。一軍で多くの出場機会が与えられにくい状況は、若手にとって厳しい環境ともいえるかもしれない。また、外野手では育成選手の川村友斗がOPS.823をマーク。守備でも優れた指標を記録しており、打力だけでなくセンターを守れる点も魅力だ。オフにはプエルトリコのウインターリーグに派遣されるなど球団からの評価も高く、支配下登録まであと一歩のところに迫っているといえるだろう。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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