ずばり「中日はいつ優勝できる?」森繁和さんと考える今年のドラゴンズ

Timely!編集部

ヘッドコーチや監督など、長きにわたって中日を支えた森繫和さん(中央)が、これまでの中日と今後の展望をたっぷりと語った 【スポーツナビ】

 立浪和義監督就任後も2年連続最下位に終わるなど、長く続く低迷から抜け出せない中日ドラゴンズ。ネットや週刊誌などではネガティブな話題も多くなっています。そんな時だからこそ、中日のポジティブな話題を取り上げるべく、落合博満監督時代はヘッドコーチ、その後は監督、シニアディレクターも務めた森繁和さん、大の中日ファンであるお笑い芸人・ダイノジ大谷さん、スポーツライターの西尾典文さんの3人をお呼びして、2024シーズンの中日について、ポジティブな視点で語ってもらいました。

森さんと振り返るドラゴンズの2023年

助っ人外国人野手の打撃不振が響いた2023シーズンの中日(左からビシエド、アキーノ、アルモンテ) 【写真は共同】

「昨年のキャンプを見に行って立浪監督とも色んな話をして、その中でポイントは『レフトで4番を打つ外国人選手』だと話していた」

 昨年春のキャンプでの立浪監督との会話を森さんが振り返ります。

 そんな期待を背負って入団したのが新外国人のアキーノ選手。実際にドミニカでアキーノ選手を見た森さんが、獲得経緯を明かします。

「ウインターリーグでホームランを打っていたけど三振も多かった。そこはもう仕方ないとして、監督が我慢して使って、日本の野球を覚えたら成功する可能性は高いんじゃないかと思った」

 しかし、シーズン開幕後に20試合で1本塁打、6打点、打率.154という成績を残して早々に二軍降格。「4番レフト・アキーノ」という立浪監督の構想は開幕一ヶ月で大きく狂いました。

「森さんは外国人選手を獲ってくる達人という印象がありますけど、アキーノに関しては、本音はどうだったんですか?」と森さんに直球の質問を逃げ込む大谷さん。

「魅力は確かにあった。昔いたブランコと同じくらい飛ばすことができるし」と答えた森さんはさらにこう続けました。

「ブランコを獲ってきたときの年俸は2500万円。アキーノは1億6000万円。ブランコの時は2500万~3000万円の選手を3、4人連れてきていますから。1億円で1人連れてくるより、安くても期待できそうな選手を何人か獲ってきてたまたまブランコが1人当たっただけですから」

 ブランコ選手とアキーノ選手、日本での明暗を分けたモノは何だったのでしょうか?

「(ブランコもアキーノも)時間がかかるだろうなとは思っていた。アキーノはメジャーでホームランをガンガン打っていた時期があったがブランコはそういうことがなかった。だから(ブランコは)素直に日本野球に染まりやすかったのかもしれない」

 西尾さんはアキーノ選手も含めて昨シーズンの中日打線をこう振り返ります。

「ビシエド選手も苦しみましたし、戻ってきたアルモンテ選手もかつてのように活躍はできませんでした。外国人野手が機能しなかったのは大きな誤算でしたね」

 外国人選手は獲ってきても活躍できるかは未知数。実際、近年NPBで成功する外国人選手も減ってきています。そんななかで、巨人から中田翔選手を獲ることができたのは4番としてある程度の計算ができると言えるでしょう。

「中田が外国人選手に求める数字と同じくらいの数字を残してくれれば、それにこしたことはない。ホームラン20~30本、100打点打ってくれれば誰も何も言わないだろうけど、高い年俸に見合う活躍を見せられるかどうか」

「4番レフト」の他にもう一つポイントがあったと言う森さん。それは二遊間を固定すること。

「センターラインの岡林(勇希)はしっかり固定されたけど、二遊間が固定できなかった。あれだけドラフトで内野手をたくさん獲った結果がどうなったか」

 2024年シーズンは「4番・中田翔」が見えているだけに、二遊間を固定できるかが昨年に続くポイントになりそうです。

 大谷さんは、昨年のチーム全体の雰囲気について指摘しました。

「僕の中で立浪監督は長嶋茂雄さんみたいなイメージなんです。ヒゲを禁止にしたはずなのに、アルモンテがヒゲで現れると『ヒゲは個性だから」って言っちゃう人(笑)。茶髪も禁止のはずなのに白髪染めの副作用かなんかで一番始めに茶髪になったのが立浪監督だし。『似合っていたらええんや』って言っちゃう(笑)。“米騒動”とかも、もっと(周りが)イジればいいと思うんですけど、外の人達が過剰に反応しちゃって話を重い、大きな話にしてしまっている。そこに違和感を感じるんです」

 続けてこう話します。

「あとはミスした選手がトレードに出されているイメージがあるので、のびのびと野球に入っていく感じ、それがもっとあっても良いんじゃないかなと思って見ていました。メンタルとか空気感とか、そういうことが大事なのかなと」

「打てない!打てない!」と散々に叩かれた2023シーズンでしたが「落合監督時代にも統一球になって、今よりも打てなかったけど優勝したシーズンがあった」と西尾さん。

「あのときも打てなかったけど、今みたいに『打てない!打てない!』ってそんなに周りは騒いでなかったですよね。それはやっぱり勝っていたから。1点2点は獲っていたからね。0点ってあんまりなかった」

 こう振り返る森さんが落合野球と立浪野球の大きな違いを指摘しました。

「(落合監督時代は)無死か一死でランナーサードだったらどんなことしてでも1点を獲ろうとしていた。チャンスはそんなにないから。無死満塁で内野がゲッツーシフトだったら『ゲッツー打て!』って言っていた。それでゲッツー打って1点入ったら『よしよし!』って言っていたから、次のバッターは楽だから残っているランナーを帰して2点目が入っていたよね。

(昨シーズンの中日は)無死満塁、一死満塁が結構あったけど、そういうとき、最初のバッターが絶対三振だけはしてはダメなのに三振したり。ホームゲッツーのシフトを敷いているときに、ホームゲッツーを打ったりね」

 打てなくてもここぞの場面で1点をとっていたのが落合野球。2024シーズン、チャンスの場面での立浪采配に注目です。

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