カーリング観戦に適切なチケット代はおいくら? 近年の価格上昇は高騰か妥当かを考える
2020年の日本選手権では選手がスタンドにミニストーンを投げ入れるなどのファンサービスがあった 【筆者撮影】
男女それぞれ出場10チーム、計20チームが出揃い、また、この大会から参加10チームをふたつのブロックに分けた1次リーグ、その結果を持ち越して戦う2次リーグが行われるなど、レギュレーションが変わることで新たな注目ポイントが増えそうだ。そしてなんといっても、2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪の選考に関わってくるため、重要な大会になる。例年以上に熱戦が期待できそうだ。
4年ぶりの有観客大会でチケットは好評発売中
価格は全席指定、税込で以下の通りだ。
1次リーグ:3000円
2次リーグ:4000円
準決勝:6000円
決勝:9000円
参考までに4年前に軽井沢アイスパークで開催された日本選手権のチケット価格は以下だ。
予選:2000円(A、Fシート)、3000円(B-Eシート)
プレーオフと準決勝:4000円(A、Fシート)、5000円(B-Eシート)
決勝:5000円
軽井沢ではAシート、Fシートが安いのは中央のシートに比べ、試合が見づらいことによる配慮だろう。
価格上昇を含め、値段の設定をどう捉えるかはファンや観客の主観に委ねられるが、気になるのは価格上昇の理由だ。
各地のカーリング協会やカーリングホールが主催するツアー大会と日本選手権とは、運営の規模も目的も異なるので一概には比較できないが、物差しにはなる。
例えば毎夏、札幌で行われている「どうぎんカーリングクラシック」だが、2023年大会は全席自由で3000円、プレーオフ以降は5000円だった。
12月に行われた軽井沢国際は5000円-8000円という価格帯で、氷上で観戦できる「Fan Funシート」は10万円という高額な特別席で、物議を醸し出した。
“どうクラ”も“カルコク”も観戦無料だった時代もあり、ワンコインだった大会もあった。それを鑑みると、高騰ではあるが、それよりも「やっとカーリングも有料興行として成立してきた」とポジティブに捉えるほうが自然だろう。
一方で両大会は、その収益や現地観戦でのメリットを明確にしてきた。
どうクラは観戦チケット購入特典として非売のタブロイド『DOUCLA TIMES』を配布。これには田畑百葉(北海道銀行)×吉村紗也香(フォルティウス)、阿部晋也(コンサドーレ)×小笠原歩(どうぎんカーリングスタジアム名誉館長)といったふたつの対談に加え、チーム紹介などが載っている。会場でしか買えないオリジナルグッズの販売も行った。
カルコクは氷上シートを導入した昨大会よりチケット販売収入の一部を賞金に充当することを発表しており、2022年大会は200万円、2023年大会は210万円の増額を大会公式サイトなどで伝えている。
つまり両大会はチケット代に価値や使い道を見いだし、それをクリアにすることでファンや観客に納得してもらい、カーリングやチームを継続して応援してくれるような仕掛けを続けてきたわけだ。
この部分をJCA(日本カーリング協会)は、日本選手権でどう考えているのか。価格に応じた仕掛けや満足度を来場したファンに届けることができるか。大きなポイントになってくる。