カーリング観戦に適切なチケット代はおいくら? 近年の価格上昇は高騰か妥当かを考える

竹田聡一郎

長年の勘案、首都圏アリーナ開催に向けて

“どうクラ”で決勝のチケット購入者は表彰式もそのまま見学できるメリットがあり、このような絵のままスタンドのファンの撮影に選手が応じる場面も 【(C)どうぎんクラシック2023】

 また、チケットぴあのサイトでは座席指定が不可になっているエリアがあり、未確認ながらスポンサーや関係者、メディア用の席だと指摘する声も出ている。これについてはスポンサー席、関係者席だったとしても批判される要素にはなり得ないのではないか。

 カーリングを支え、共に盛り上げてくれるスポンサーに競技を実際に見てもらい魅力を伝え、長く伴走してもらうこと。あるいは今後、多くの企業団体にカーリングというスポーツに興味を持ってもらうために座席を有効活用すること。それは競技の継続、発展のためにどちらも欠かせない。

 問題があるとすれば説明が不足している点だろうか。JCAはHPに「第41回全農日本カーリング選手権大会に関するチケット販売について」と販売要項を掲載しているが、ここに「一部の座席をスポンサー席、関係者席として活用いたします。カーリングの発展のためにご理解いただければ幸いです」といった断り書きを加えることはできなかったのだろうか。

 冠スポンサーである全農をはじめ、ミズノ、ナブテスコといった企業団体は、カーリングのスポンサーとしてファンにも定着してきた。そのスポンサーがスタンドから観戦、視察するのは会場のキャパシティも考慮すればファンも同意してくれるはずだ。様々な誤解を解消するためにも説明は必要だった。

 そのJCAは12月27日に2023年最後の理事会を開き、世界ジュニアカーリング選手権日本代表選手団の選手の一部変更、そして2025年冬季アジア競技大会日本代表についてのリリースを出した。

 前者については田畑百葉、仁平美来、中島未琴(以上北海道銀行)、上野結生(SC軽井沢クラブ)に加え、三浦由唯菜(札幌国際大学)が入ることが発表されている。

 後者は2025年2月に中国・ハルビンで開催される冬季アジア大会に、男女日本代表、ミックスダブルス日本代表としてそれぞれ2024年の日本選手権に勝ったチーム、ペアを認定して派遣するというものだ。なお、各代表候補に辞退があった場合には、次点チームとしてWCF世界チームランキング上位チームから選考される。

 上記2点の議事とその結果が発表されたが、2025年の日本選手権の会場については触れられていなかった。2020年が軽井沢、21年が稚内、22年と23年が常呂、24年が札幌、という開催地だったことを考えると、青森や名寄、軽井沢あたりが候補地に挙がっているのだろうか。ついに長年、構想してきた首都圏での開催が実現できるのか。そのあたりの計画と経緯の説明は、1月の日本選手権開幕前後に発表、それに伴う意図の説明があるのだろうか。続報を待ちたい。

 そして冒頭で指摘したように、2026年の冬季五輪出場にからむ重要な大会になる。首都圏のアリーナ開催ができれば、チケットの価格決定や、来場者へのサービスなどをふまえて、日本選手権は貴重な試金石の場になるはずだ。

 興行として成立するスポーツへ、カーリングは進むことができるのだろうか。アイスの外の仕掛けにも期待が高まっている。

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