J1月間MVP 福岡・紺野和也が切り開いた新天地での新境地「今までで一番充実している」
シャドーでの起用で新境地を開拓した紺野。太いヘアバンドは前線3人の一体感の源だ 【(C)J.LEAGUE】
前線の連係は「山ピースヘアバンド」のおかげ⁉︎
ありがとうございます。「本当に僕か!?」という驚きの気持ちが一番に出てきました。
――9月のアビスパ福岡はリーグ戦で3勝1分と好調を維持していました。印象に残っている試合はありますか?
たくさんありますね。まずは古巣でもあるFC東京との3連戦(J1リーグとYBCルヴァンカップ2試合)。それから柏レイソル戦では、プロになって初めて1試合で2点を決めることができました。あの試合は相手のプレッシャーが速くて、特に前半は苦しい展開でした。でも、後半に立ち直ることができて、全員が一丸となって逆転できた。自分が決めた2点とも、最近チームで練習している形がそのまま出た、すごくいいゴールだったのも嬉しかったです。
――レイソル戦の1点目は、山岸祐也選手や金森健志選手とのコンビネーションが冴え渡った素晴らしいゴールでした。
前線は1トップ+2シャドーの形なので、状況に応じて常にお互いを見ながら、3人が被らないように意識しながらやっています。レイソル戦の1点目は、いい距離感で「3人目の動き」が出ましたね。
――前線の「山ピースヘアバンド3トップ」の関係性は、試合を重ねるごとによくなっていっているように見えます。ヘアバンドのおかげでしょうか?
FC東京時代は細いヘアバンドを着けていたんですけど、アビスパに来たらみんな太いヘアバンドを着けていたので、合わせたほうがいいかなと思って今年から変えました。祐也くんが「山ピースヘアバンド」を出しているので、それをもらって試合で着けています。みんな一緒なので一体感が出ているんじゃないかなと(笑)。
もちろんピッチ上での連係もどんどん良くなってきていると思います。レイソル戦の1点目は試合後も「あれはよかったね」という話をみんなでできましたし、最近はああいったいい距離感でのパス交換からのゴールが少しずつ増えてきています。
移籍したときは「大丈夫かな?」と不安もあった
武器であるドリブルが注目されがちだが、「強度を出せるような体になってきた」と言うようにハードワークも欠かさない 【YOJI-GEN】
システムが変わって、よりゴールに近いところでプレーするようになったので、サイドハーフだった頃よりもゴールを決められそう、アシストできそうという感覚が増して、それが実際に結果につながったと思っています。
もともとサイドに張ってからドリブルする機会が多いプレースタイルだったので、シャドーというポジションに対して、今までは苦手意識がありました。シャドーだとより中央でプレーして、後ろからくるDFなどもチラチラ確認しながらプレーしないといけないのが難しかった。そこも練習から少しずつ改善しようと取り組んで、ちょっとずつ良くなってきていたのが結果となって表れたのかなと思います。
――紺野選手の体格を考えれば、球際の強さや運動強度の高さが求められるアビスパのスタイルを苦手としていても不思議ではありません。どのように適応していったのでしょうか。
正直、アビスパに移籍するときに「大丈夫かな? プレースタイルは合うかな?」といった不安もありました。でも、守備の強度というのはどのチームでも求められることです。FC東京時代、プロに入ってすぐの頃は強度が足りなくて苦しんだところもあって、そこを長谷川健太監督(現名古屋グランパス監督)にどんどん指摘してもらって、良くなっていった感触もありました。体づくりにも積極的に取り組んで、より強度を出せるような体になってきたというのもあると思います。
――試合のスタッツを見ると、紺野選手はスプリント回数で常にチームでもトップ3前後にランクインしています。アビスパに来て、ボールのないところでの走りの質や量が格段に向上しているのではないでしょうか。
その実感はありますね。スプリントしているのはカウンターのときか相手にプレスをかけるときだと思うんですけど、そこの強度は本当に大事だなと思います。レイソル戦で決めた2点目もカウンターのスプリントからのゴールでしたし、守備のところでは前線の選手がスイッチを入れていかないと、後ろもハマっていかないですよね。
こうした基本的なところをしっかりやらないと強いチームには勝てない。今は守備やカウンターの場面でしっかり高い強度を出せているからこそ勝てていると思うので、そこは絶対にサボってはいけないポイントかなと思います。