J1月間MVP 広島ドウグラス・ヴィエイラが語る完全復活の理由 「今年は“本当のドグ”を見せられている」
5試合5ゴールは立派だが、そのすべてが途中出場からマークしたもの。スーパーサブとして勝負強さが光る 【(C)J.LEAGUE】
集中力に強くフォーカスしている
アリガトネ(日本語)。感謝の気持ちでいっぱいですし、自分の努力が報われたなと思います。
――好調の要因について、どう分析していますか?
まずは神様のおかげだと思っています。ハードワークできていますし、それと自信ですね。ハードワークができているからこそ、自信にも繋がっています。そしてタイトルを勝ち取りたいという気持ちも強い。自分のためにも、チームのためにも。それが自分のモチベーションになっています。
――今回の受賞について、ご家族には伝えましたか?
はい。みんな、すごく幸せな感じでしたね。家族のみんなは自分の今までの努力、自分が乗り越えてきたもの、自分の気持ち。すべてを常に分かち合ってきたし、ずっと話し合っている。辛い部分も良いこともすべて分かっているのでね。
――昨年1月に生まれた娘さんも、とても喜んでいると思います。ドウグラス・ヴィエイラ選手のほうに似ているんですか?
それに関しては、よく夫婦げんかになるんだよ。どっちに似てるんだ、パパかママかってね(笑)
――この子は将来、こういう子になるんじゃないかという予感はありますか?
それはちょっと、分からないね。でも、すごくやんちゃな子なんですよ。あちこちに動いたりとか、エネルギッシュな子なのでね。つい最近、僕の母親と話してね、「ウチの子はすごくやんちゃで大変だよ」と言うと、母は「いやいや、何いってんの。あんたの方が10倍、すごかったよ」って(苦笑)。
――4月は5試合5ゴール。この数字も凄いんだけども、同点ゴール1点、決勝ゴール3点と4点が勝利に直結するゴールというところも凄い。こういう拮抗した状況で得点を決める勝負強さの秘訣は?
厳しい試合の中で、しかも短い時間で仕事をしないといけないのは、本当に集中しないと難しい。自分としては、その「集中力」に強くフォーカスしています。あとは、勝ちたいという強い気持ちですね。それが集中にも繋がっています。
ゴールから逆算したプレーが大切
21年12月に第一子となる長女が誕生。その存在が大きなパワーになっている 【YOJI-GEN】
PKには集中力と冷静さが必要です。あれは、確かに簡単ではない場面でした。アウェーで、相手のサポーター側の前でPKを蹴らないといけないし、相手チームの選手もプレッシャーをかけてきた。でも、うまく説明はできないんですけど、自分は冷静さを失わないし、周りのプレッシャーを吸収できるんですよね。そういう強みを持っているという実感はあります。
――鹿島戦の2点目、逆転ゴールはエゼキエウ選手の素晴らしいスルーパスをいい動き出しで引き出した。あのシュートも、ここしかないというコースに打ち抜けましたね。
ゴールに向かうプレーっていうのは確かに難しい。ミスの確率も高くなるのでね。ゴールに向かうパスを出すと、もしかしたら周りから批判があるかもしれない。何でそんなに強引に行くのかって、言われるかもしれない。でも、そのパスが通ればゴールだっていうチャレンジは重要です。そこはエゼ(エゼキエウ)とよく話をするんですけどね、ふたりとも同じ考えなんですよ。
何が試合を決定するのか、それはゴールですよね。そこに向かうプレーが大切だとふたりでよく言い合っています。横や後ろにパスをするのは簡単ですけど、一番重要なのは前にパスを出すことだから。それが、鹿島戦の2点目につながったと思います。
――日本のサッカーはよく「横パスが多い」と言われています。ゴール前をUの字にボールが動いて、得点を取りにいかない、と。でも、サッカーの本質っていうのは、ゴールにシンプルに向かうところだと、ドウグラス・ヴィエイラ選手は考えているわけですね。
そうですね。勝利を決めるのはゴールですから、そこから逆算したプレーが大切だと考えます。もちろん、いろいろなやり方があると思うし、フォーメーションもある。でも前にいけるチャンスがあれば、前にパスを出してゴールに向かおう。そういう話は、ずっとしています。
――サガン鳥栖戦(4月9日/○1-0)のゴールも、実にストライカーらしいなと感じています。東俊希選手のスルーパスを引き出して、冷静に決めた。ドウグラス・ヴィエイラ選手のストライカーとしての能力が凝縮されていましたね。
あのシーンを振り返ってみると、大迫敬介のロングボールに対する競り合いから始まりましたね。自分がセカンドボールをドリブルして、パスを出して取られて、またすぐ取り返してという状況になった。そしてシュンキがボールを運んだ時、自分のポジションを見てくれていると感じたので、裏に抜けた。本当にいいボールをもらったんだけど、相手のGK(朴一圭)は動きが速いんで、それを考えながら強いキックでシュートしたんです。すごく大事な試合で得点がとれて、嬉しかったですね。