J1月間MVPはここまで8得点9アシストの神戸・武藤嘉紀「今ほど優勝をしたいと思ったことはない」

舩木渉

シーズンの半分を終えて8ゴール。ルーキーイヤーにマークしたキャリアハイ13ゴールの更新も現実的だ 【(C)J.LEAGUE】

 5月度の大迫勇也に続き、6月度の「2023明治安田生命Jリーグ KONAMI 月間MVP(J1)」にヴィッセル神戸からFW武藤嘉紀が選出された。6月の2試合で2得点2アシストをマーク。欧州からJリーグに復帰して3シーズン目を迎え、「31歳となった今が一番強い」と胸を張るストライカーに進化の要因を聞いた。

印象深い飯野のクロスに合わせたゴール

――6月度の明治安田生命J1リーグKONAMI月間MVP受賞、おめでとうございます。FC東京時代の2015年3月以来、約8年ぶりの受賞になりました。

 ありがとうございます。ヴィッセル神戸の選手になって初めての受賞なので、とても嬉しく思います。

――6月はリーグ戦2試合に出場して2得点2アシストでした。印象に残っているプレーはありますか?

 アビスパ福岡戦(6月25日の第18節/◯3-0)の2点目ですね。飯野(七聖)選手からのクロスに頭で合わせてゴールを決めたシーンが印象深いです。タイミングがぴったり合いましたし、飯野選手にとっては長期離脱を強いられたケガからの復帰戦でした。私生活でも仲が良く、辛い時間を共有してきた彼のクロスからゴールできたのは本当に嬉しかったです。

――今シーズンはリーグ戦全19試合に出場して8得点9アシスト(7月15日時点)と絶好調です。すでに昨シーズンを超える成績を残していますが、これほど大きくパフォーマンスが変わった要因をどのように考えていますか?

 まずは大きなケガをしていないことが大きいです。昨シーズンは早い段階で膝を痛めて(3月上旬に左膝内側側副じん帯を損傷)、調子を崩してしまいました。その影響が残ってしまって、自分の100%を発揮することができませんでした。

――昨シーズンは7月にも右足首を痛めて離脱を強いられました。ケガを繰り返したことでプレーへの悪い影響が尾を引いてしまった?

 まさしくその通りで、メンタル的にもフィジカル的にも整っておらず、チームに迷惑をかけてしまいました。今年は何ひとつ妥協することなくトレーニングもケアもできているからこそ好調を維持できていると思うので、このまま健康な状態で突っ走っていきたいですね。

31歳になって落ちたと言われないように

ヨーロッパから同時期に神戸に加入した大迫(中央)と形成する前線のユニットは、破壊力満点だ 【(C)J.LEAGUE】

――7月15日に31歳の誕生日を迎えました。30代に入って肉体的な変化を感じることはありますか?

 むしろ身体的にもメンタル的にも、今がこれまでで一番強い状態だと感じています。自分の体のことをよく理解したうえで、トレーニングでの追い込み方もわかってきました。いろいろなトレーニングを試して、いろいろな人に会って話を聞いて、それらを自分の中で消化したうえで本当に必要なものだけを選び抜いて取り組んでいます。これは年齢を重ねて経験を積んだからできることだと思いますし、今はケガをするなら不運しかないと思える状態になっています。

――31歳はどんな1年にしたいですか?

「31歳になって武藤は落ちた」と言われないようにしたいです。歳も歳なので、トレーニングも今以上に厳しくやらないと、さらに成長していくことはできないと思うので、とにかく努力し続けることに尽きる。僕がJリーグでデビューした当時は『30歳までなんとかしがみつこう』というのが目標だったので、本当に幸せなサッカー人生を送らせてもらっていると思います。うまくいかないことも多々ありましたけど、いいときも悪いときも頑張り続けてよかったな、と。

――今シーズンは主に右サイドで起用されて目覚ましい結果を残しています。これまではセンターFWのイメージが強く、右サイドはニューカッスル・ユナイテッド時代に少しだけ見た記憶がありますが……。

 右サイドでのプレーがうまくハマりました。チームとしてもいい結果が出ているし、僕のエゴよりもチームがうまくいっていることのほうが重要です。今は何がなんでもセンターFWでプレーしたいという気持ちはないですね。

――右サイドでプレーするにあたって意識することは何ですか?

 大迫選手との距離感や自分で仕掛ける姿勢も大事だと思いますが、特に意識しているのは「より確率の高いプレーを選ぶこと」です。自分でシュートを打って終わりたくても、もし横に100%でゴールを決められる選手がいるなら、そっちにパスを出すことを選ぶようにマインドが変わりました。

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著者プロフィール

1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。

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