怪我から復帰した鍵山優真の新たな強さ 目指すのは「振り付けであるかのように」ジャンプを跳ぶプログラム

沢田聡子

今季は本格的な開幕を前に、既に3試合に出場している (写真はロンバルディア杯) 【写真は共同】

ジャンプで転倒するも「成長した部分をお見せできたら」

 2022年北京五輪銀メダリスト・鍵山優真が、新たな強さを身につけて勝負のリンクに帰ってきた。

 左足首を痛めた影響で昨季は全日本選手権のみの出場にとどまった鍵山だが、今季は本格的な開幕を前に、既に3試合に出場している。8月11~12日に京都府・宇治市で行われた初戦の木下トロフィー(3位)では211.47、9月8~10日にイタリア・ベルガモで行われた2戦目のロンバルディア杯(優勝)では265.59という合計点をマーク。国内大会と海外試合の得点は単純に比較できないとはいえ、順調にスコアを伸ばしてきた。

 そして9月23日、全日本選手権への第一歩となるブロック大会・東京選手権(東京都・西東京市)のショートプログラムで、鍵山は最終滑走者としてダイドードリンコアイスアリーナのリンクに立った。

 父・正和コーチと拳を突き合わせ、大きく息を吐いてスタート位置についた鍵山は、『Believer』(シェイ=リーン・ボーン氏振付)を滑り始める。冒頭の4回転サルコウで転倒するが、続く3回転ルッツ―3回転トウループの連続ジャンプはきれいに決めた。後半で跳んだトリプルアクセルは3.20という高い加点を得る出来栄えで、ロック調の曲を表現するステップシークエンスでは洗練されたスケーティングで魅了している。

 転倒しながらもその後は貫禄が漂う滑りでショート首位に立った鍵山は、演技後に自らのジャンプを振り返った。

「4回転サルコウは6分間(練習)と公式練習でしっかり調整していたつもりだったのですが、本番で一発目のジャンプだったからなのか、少し足の動きが小さくなってしまったのが原因かなと思います。その後はミスを引きずらずに、3(回転)-3(回転)とトリプルアクセルをしっかり落ち着いて決めることができたので、そこは良かったかなと」

 冷静に分析する一方で、鍵山は「『もうそろそろノーミスしたいな』という気持ちはすごくあって」と笑っている。

「木下トロフィーから、何かしらミスが続いてしまっているので…グランプリは4(回転)-3(回転)も入れたいなと考えていたのですが、サルコウをミスしてしまっている以上、まだ先には進めないなと感じています。今の構成でしっかりとノーミスできるまでは、もっともっとたくさん練習を積んでいきたい」

 客席からは大きな声援も飛んでおり、日本の観客の前で楽しさを感じたという鍵山は「だからこそ、本当に皆さんの前でいい演技がしたかった」と悔しさをのぞかせた。

「でも、それ以外で成長した部分を少しでもお見せできたらいいなと思います」

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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