「鳥人間コンテスト」に挑戦したカバディ選手 「空飛ぶカバディスト」の次なる挑戦

平野貴也

彦根城を背に、びわ湖上空を飛んだSky Project制作機 【写真提供:Sky Project】

 自作の人力飛行機の飛行距離や飛行時間を競う「第45回鳥人間コンテスト2023」が7月29、30日に滋賀県彦根市の琵琶湖東岸で行われた。人力プロペラ機部門に出場した帝京大学宇都宮キャンパスの人力飛行機製作クラブ「Sky Project」(7回目の出場)のパイロットを務めたのは、理工学部・航空宇宙工学科の山本一智(3回生)。航空系整備士を目指している学生で、インド発祥のスポーツ「カバディ」の選手でもある。

 昨年は機体作りに携わったが、現役スポーツ選手であることから、今年はプロペラを回すためのペダルを漕ぎ続ける体力が必要なパイロットを務めた。コンテストでは、強豪チームレベルの10キロを目標に挑戦。プラットフォームからふわりと浮き上がって飛行したが、140.05メートル地点で右翼から湖面に着水。山本は「風は難しかったが、それでも飛べる練習をして来た。機体は最高だった。自分が無駄にしてしまった」と仲間に感謝を示しながら、悔しがった。コンテストの模様は、読売テレビの公式YouTubeでライブ配信。8月30日には、読売テレビ・日本テレビ系列で放映された。

 飛行直後は悔しさで涙を流したが、山本は「テレビに映るのは、設計主任とパイロットがほとんどだけど、Sky Projectには30人が設計、制作に携わり、毎日泊まり込みで作業をしていた。彼らのおかげで飛ぶことができた。何度もありがとうと言いましたが、感謝が尽きません」と大学入学時から目標にしていた憧れのコンテストにパイロットとして出場できた喜びを語った。今後は、学内OBとして後輩を指導しながら、カバディ選手としての活動に専念するという。

漫画「灼熱カバディ」をきっかけに大学で競技を開始

相手選手との接触を伴うカバディでは体重が必要 【筆者撮影】

 山本がカバディを始めたきっかけは、漫画だ。高校生の頃から人気漫画「灼熱カバディ」のファン。自分もやってみたいと思っていたところ、栃木でチーム発足が計画され、SNSで選手を募集していたのを見て参加を決意。現在は「栃木ガーナレンズ」の主軸選手として活躍している。

 カバディは、ドッジボールに似たコートを使い、最大7対7で行う「コンタクトを伴う、激しい鬼ごっこのような」競技だ。攻撃(レイド)は、1人が敵陣に入り、相手守備(アンティ)の選手にタッチをして自陣に帰れば、タッチした人数分の得点を得られる。その際、カバディ、カバディと連呼し続けなければならない独特のルールがある。一方、守備はタックルなどで帰陣を阻むことで得点を得る。7人がかりで1人に襲い掛かるなど、迫力がある。攻撃側は腕や足を掴まれた状態で帰陣を目指す、守備側は阻止するために押さえつけるといった場面が多発する。接触後は体重がある方が優位。男子は85キロ、女子は75キロ以下と体重制限が設けられており、国内大会では当日計量が行われている。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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