世界バドミントン、女子ダブルスで五輪出場権に近付くのはどのペアか

平野貴也

日本の女子ダブルスは、3組が五輪出場権を争う形になっている 【撮影:平野貴也】

 バドミントンの世界選手権が8月21日にデンマークのコペンハーゲンで開幕する。日本は、史上最多タイとなる3連覇に挑む女子シングルスの山口茜(再春館製薬所)らが出場するが、2024年パリ五輪の出場権獲得レースにおける最大の注目点は、女子ダブルスで日本から優勝ペアが出るかどうかにある。

 日本からは最大枠の4組がエントリー。いずれも世界ランク16位以内と強い。しかし、五輪には同一国から最大2組しか出場できない。2組が出場するには、直近1年の成績が反映される来年4月30日更新の世界ランク8位以内に2組以上が条件となる。世界トップクラスで日本勢同士が「8位以内、日本勢2番手以内」の位置取りを激しく争う形となっている。

東京五輪8強の「ナガマツ」と「フクヒロ」がリード

2大会連続の五輪出場を目指す福島/廣田 【撮影:平野貴也】

 現時点では、ともに東京五輪でベスト8だった2組が日本勢同士の争いでリードしている。トップは、2018年と19年に世界選手権を連覇した松本麻佑/永原和可那(北都銀行)。ともに170センチ台、世界でも珍しい長身ペアで抜群の攻撃力を誇る。五輪レース開幕後、すべての大会でベスト8以上と安定。5万5813点で五輪レース全体の3位につけている。世界選手権は、第4シード。永原は「最初に優勝してから思い入れの強い大会だけど、レース中はみんなが気持ちを入れてくる。気持ちも体も準備して臨みたい」と意気込んだ。女子最速438キロのギネス記録を持つ強打のタン・パーリーと前衛のティナ・ムラリタランが組むマレーシアペアと3回戦で対戦する可能性があり、最初のヤマ場になりそうだ。

 日本勢2番手は、全体4位の福島由紀/廣田彩花(丸杉)で5万1135点。21年の東京五輪以降、ともにケガに苦しんできたが、復調傾向にある。2人が横に並ぶ陣形での守備力は、世界屈指だ。世界選手権は、18年、19年に銀メダル。21年は廣田、22年は福島の負傷で欠場しており、福島は「久しぶりの世界選手権になるので、すごく楽しみたい。大きい大会で、五輪レース中。ポイントが……と言われるとは思うけど、あまり考えずに(しばらく)出ていない分、楽しみたい」とプレッシャーを背負い過ぎずに臨む姿勢を示した。世界選手権は、第5シード。メダル獲得には、第2シードのペク・ハナ/イ・ソヒ(韓国)のヤマを突破する必要がある。

3番手から逆転狙う志田/松山、4番手の中西/岩永が世界選手権で激突か

五輪レース4番手の中西/岩永も勢力図を崩しにかかる 【撮影:平野貴也】

 3番手につけているのが、東京五輪後にトップ争いに加わった志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)。上記2組に世界ランクで抜かれたが、五輪レースは4万4655点で全体6位と食らいついている。スピード感のある高速ラリーを得意とするペア。7月のカナダオープンでは、上記2組を撃破して優勝するなど、初の五輪出場へ順位逆転の可能性を十分に秘めている。志田が「レース中であるとか、ファイナルズの出場権がかかっていることもあるけど、まずは大舞台で自分たちらしいプレーを貫いて、メダルを絶対に取りたい」と意気込みを示した世界選手権は、第7シード。ともに勝てば、五輪レースで日本勢4番手につける中西貴映/岩永鈴(BIPROGY)と3回戦で激突する。実現すれば、2強を追う志田/松山と、3強の争いを4強の勢力図にしたい中西/岩永の譲れない一戦となる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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