「鳥人間コンテスト」に挑戦したカバディ選手 「空飛ぶカバディスト」の次なる挑戦

平野貴也

カバディでは体重が必要だが、人力飛行のため減量

減量した細い体で臨んだ(写真右)コンテスト。飛行を終えて戻ると、仲間に励まされた 【写真提供:SkyProject】

 山本は、人力飛行コンテストの約1カ月半前となる6月10日に、学生または競技者登録4年未満の選手に出場資格が与えられる「カバディチャレンジカップ」に出場。平常時の体重が60キロ前後で元々細身。競技のことを考えれば増量が好ましいが、山本は油モノを控えて減量準備に取り組んでいた。鳥人間コンテストに出場するためだった。ペダルを漕いでプロペラの動力となるために筋力と体力が必要だが、飛行距離を伸ばすため、機体だけでなく、パイロットも軽量化を目指した。

 カバディの試合では、攻撃のエース役を担ったが、思うように得点できず。「カバディはずっと続けていくつもりで今後も挑戦できるので、今回は人力飛行のコンテストを優先して減量しました。結果的には(接触後に)押し負けたから負けたという形ではなかったので、そこは(勝敗には)関係なかったと思います」と体重よりも技術を課題に挙げて苦笑いを浮かべた。

今度は、カバディのために20キロ増量へ

今後は、学業に励みながらカバディ選手としての活動に注力するという山本(写真中央) 【筆者撮影】

 人力飛行コンテストを2週間後に控えた7月中旬、東日本カバディ選手権が行われたが、山本は欠場。激しいコンタクトを伴うため、コンテストを2週間後に控え、負傷するリスクを避けての判断だった。体重は目標だった54.5キロを下回る53.5キロまで絞り落としていたが「少し減らし過ぎて体力が心配なので少し戻したい」と話していた。

「一生に一度の大会」と最優先した鳥人間コンテストにチャレンジし、空飛ぶカバディストとなった山本は「減量で大好きなラーメンを食べられないのが辛かった。好きなのは、家系や二郎。びわ湖の会場付近のラーメン屋は調べておきました」と話していたが、コンテストが終わり、減量から解放された。

 大学生活での目標だった鳥人間コンテスト出場を果たし、次なる目標は、カバディでの活躍だ。所属する栃木ガーナレンズは、山本が欠場した東日本選手権で公式戦初勝利。今季最大の目標は、12月に都内で開催される全日本カバディ選手権となる。山本にとっては、この大会で活躍して強化指定選手になることが大きな目標だ。そのために「できれば75キロくらいまで上げたいと思っている」と今度は減量ではなく増量を目指す。人力飛行コンテストに向けたトレーニングに協力してもらった帝京大学トレーナーチームT3の力を引き続き借りて、今度は屈強で大きな身体作りに挑む。びわ湖を飛んだ「空飛ぶカバディスト」の挑戦は、まだまだ続く。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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