WBCで注目されたチェコ野球 U-18代表のスマートな振る舞いに今後の躍進を期待
着実に進歩を見せるチェコ野球。将来に向けて、U-18W杯でも大きな成果をあげている 【写真:駒田英】
そのチェコが、台湾で開催されている「WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場している。昨年8月、予選にあたるU-18ヨーロッパ選手権では3位に終わり本戦出場を逃したものの、出場辞退チームが出たため、WBSCから6月にワイルドカードを与えられ、2015年大会以来の出場となった。
チェコ野球、さらにU-18世代というと、私を含めイメージの湧かない方が大半だろう。代表を率いるペトル・チェフ監督にチェコ野球U-18世代の現在地と、今後の発展の方向性について伺った。
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WBCが若い世代にとってのモチベーションに
チェフ監督(写真左)はアメリカで経験を積むことが今後の強化のカギだと話す 【写真:駒田英】
野球がポピュラーなスポーツとは言えないチェコにおいて、高校世代の選手は、近年増えつつあるものの数百人程度。トップレベルとなると数十人で、今回は概ね10のクラブの候補35人から20人を選抜した。
また、今回はワイルドカードによる出場で十分な準備期間がなかったなか、代表選手は20代、30代の選手と一緒に練習をしてきたそうだ。野球人口自体が多くないとはいえ、既にU-18代表クラスの選手は、国内のトップリーグである「エクストラリーガ」で多数プレーしているという。
チェフ監督はWBCを振り返り、「若い選手たちは皆、大会に釘付けになっていた。チェコ野球の振興自体への貢献はもちろん、中国に勝って最下位を免れ、次回大会は予選からでなく直接本戦に出場できることが、若い世代にとってのモチベーションにつながっている」と語った。
そして、9月下旬から開催されるトップチームのヨーロッパ選手権に、エリック・ソガードやウィリー・エスカラらアメリカ育ちのチェコ系選手がWBCに続いて出場する意義も大きい、と述べた。
今大会の代表メンバーにも彼らと同様、アメリカで生まれ育った選手が含まれている。自身もシンシナティ・レッズのマイナーリーグ経験を持つチェフ監督は、こうした選手に加え、高校、大学の時点でチェコからアメリカに渡り、経験を積む選手が増えてほしいと述べ、「仮に50人の選手がアメリカに渡り、うち20人でも戻ってきたら、底上げができる」と話した。チェコ野球の強化において「アメリカ」は一つのキーワードになりそうだが、チェフ監督は「チェコのクラブの量を増やし、質を引き上げていくことも重要だ」と強調した。