プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

夏場以降の巻き返しで楽天に3位浮上の可能性 若手を信じて最後までファンを沸かせる戦いを

三和直樹

ドラ1位右腕コンビに期待

大卒1年目の荘司康誠は8月27日のソフトバンク戦で2勝目を挙げた 【写真は共同】

 開幕前から高齢化が指摘されていた投手陣は、則本昂大が7勝5敗、防御率2.80の成績を収めているが、田中将大が防御率4点台で負け越し(7勝8敗)、岸孝之も防御率2.98ながら5勝5敗と貯金を作れていない。その中で、やはり若手の台頭を求めたい。大卒3年目の早川隆久はすでに欠かせない先発ローテの一員となっているが、それに続く存在として、荘司康誠と藤平尚真のドラフト1位右腕コンビに期待したい。

 ルーキーの荘司は、今季14試合に先発して2勝3敗、防御率3.16。チャンスを与えられている中で思うように勝ち星を増やせていないが、7月26日の日本ハム戦で8回2安打の快投を演じながら1被弾2失点でチームも敗戦するなど、足りないのは「運」という見方もできる。事実、被打率.211は、今季の先発ローテ陣の中でチーム断トツトップ(則本が.247で2番目)。6月15日以降は8試合で2勝0敗と負けていないということも事実であり、歯車さえ噛み合えば9月の連勝街道もあり得る。

 高卒7年目の藤平は、プロ入り以降浮き沈みの激しいシーズンが続いたが、今季は8試合に先発して2勝3敗、防御率4.62。その2勝は、ともに4月に挙げたもの。だが、早川のコンディション不良によって8月30日に急遽、再登録されると、同日のロッテ戦で150キロ超のストレートを繰り出して5回2安打1失点と好投。自身に白星は付かなかったが、チームの勝利に貢献するピッチングを披露した。ポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。9月以降のチャンスを自身の力で掴み取りたい。

若手を抜擢しながらCS進出を

 石井一久GM兼任監督1年目だった2021年は貯金4(勝率.516)の3位で翌シーズン以降に期待が持てたが、翌2022年が借金2(勝率.493)の4位と振るわず。そして今季も保有戦力を活かし切れず、現時点で借金4(勝率.483)の4位で、右肩下がりの成績になっている。

 まずは2ゲーム差となっているソフトバンクとの3位争いを制することができるか。直接対決を8試合残しているが、今季ここまでの対戦成績は10勝7敗とリードし、7月以降は7勝1敗と圧倒している。この調子を継続できれば、CS進出となる3位浮上は時間の問題だと言える。

 ただ、3年契約の最終年となる石井監督は、今季限りでの退任が既定路線と言われている。仮にそうだとしても「石井監督時代が間違っていなかった」という証拠を、“遺産”として残せるかどうか。2軍(9月2日時点)で打率.311を残している黒川史陽や17盗塁をマークしている育成出身の辰見鴻之介といった若手の抜擢も期待したいところ。来季への“楽しみ”を提供しながら、最後の最後までファンを沸かせる戦い期待したい。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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