プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

日本ハムから本塁打王誕生なるか、2ケタ勝利達成者は? 今季の進化を確かめながら来季への光を掴む

三和直樹

好不調の波の激しいシーズンの中で日本ハムは進化できたのか。万波のタイトル争いにも注目だ 【写真は共同】

 今年3月31日に開幕したプロ野球は、記録的猛暑の夏を越えていよいよ“勝負の9月”を迎える。セ・パ両リーグの首位球団に優勝マジックが点灯した今、残りの約30試合をどのように戦うべきか。そして注目ポイントはどこか。12球団の終盤戦の“見どころ”を整理しておきたい。まずは日本ハムだ。

※成績はすべて8月29日時点のもの

悪夢の13連敗を乗り越えて

 新庄剛志監督就任2年目の今季、開幕直後から黒星が先行して4連敗と5連敗が1度ずつ、4月を9勝16敗で終える苦しいスタートになった。だが、投手陣の安定したピッチングを背景に徐々に調子を上げると、5月17日から4連勝を飾って4位浮上を果たす。そして交流戦を4連勝で締めくくると、リーグ戦再開初戦も勝利して借金を今季最少の3にまで減らした。

 しかし、借金完済とAクラスを視界に捉えたところで再び投打の歯車が狂った。7月5日から僅差のゲームをことごとく落とす形で球団ワースト記録にあと1と迫る悪夢の13連敗を喫し、みるみるうちに順位を最下位まで下げた。

 それでも8月に入って復調し、12日から今季2度目の5連勝を飾ると、22日からの5試合を4勝1敗と勝ち越して7月15日以来43日ぶりに最下位を脱出。8月29日の時点で51勝65敗1分け、借金14の5位となっている。

“新型ハム打線”の完成形と本塁打王誕生は?

 復調した8月で目立っているのが、得点力がアップした打線だ。7月は21試合で65得点(1試合平均3.1得点)だったのが、8月は29日時点で24試合101得点(1試合平均4.2得点)と大幅にアップ。チーム打率も7月の打率.240から.259と上昇している。

 その原動力となっているのが、新戦力組だ。今季新加入のマルティネスが8月にクリーンアップに座って月間打率.313、2本塁打、20打点をマークすれば、7月まで出場19試合で打率.152だった大卒ルーキーの奈良間大己が、8月は出場23試合で打率.304の好成績で新リードオフマンとして機能し始めている。さらに6月末にトレード加入した郡司裕也、プロ2年目の上川畑大悟、7月末に支配下復帰を果たした王柏融も存在感を見せ、故障離脱していた清宮幸太郎も復帰済み。この“新型ハム打線”が9月以降も機能し、完成形に向かうかどうかが大きな注目ポイントになる。

 そして個人として期待したいのが、高卒5年目の万波中正だ。オールスターでMVPを獲得するなど今季ブレイクした23歳は、8月も順調に本塁打を重ねて球団では中田翔以来となるシーズン20本塁打に到達した。今季のパ・リーグの本塁打王争い混戦で、8月29日時点でトップの浅村栄斗(楽天)が21本塁打で、1本差で万波の他に近藤健介(ソフトバンク)、ポランコ(ロッテ)の3人が並び、柳田悠岐(ソフトバンク)が18本塁打で追っているという状況。その中で万波がタイトルを獲得できるかどうか。ファンの大きな期待を背負っている。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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