最強ペアとの距離縮める渡辺/東野 バドミントン世界選手権で初の金メダルなるか
ダイハツジャパンオープンで初優勝を飾った渡辺/東野 【撮影:平野貴也】
2024年パリ五輪の出場権獲得を争う五輪レース中。世界トップの強豪が集う中、準決勝は、世界王者の鄭思維(ジェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤチョン=中国)に2-0のストレート勝ち。決勝は、前回王者で世界ランク3位のデチャポル・プアバランクロー/サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)を2-1の逆転で制した。準決勝と決勝のカードは、準優勝だった前回と同じで、どちらも世界屈指の好カード。今回も決勝戦は苦しい試合だったが、常に声を掛け合ってスピードを落とさず、今度はタイトルをもぎ取った。
負傷続きの渡辺は、開幕前日にも足を痛めたが……
ただし、コンディションを考えると、予想外だった。今年、渡辺は何度も足を痛めている。2月のアジア混合団体で負傷。3月の全英オープンは途中棄権で車いすで退場した。5月の男女混合国別対抗戦スディルマン杯も不調で決勝トーナメントは起用されなかった。
それでも6月のシンガポールオープン、インドネシアオープンは連続して準優勝。回復具合が気になり、大会前に質問したが渡辺は「内緒です」の一言だった。スディルマン杯も調子は悪くなかったと主張した。渡辺のコンディションが戻っているならば……と思ったが、開幕前日の会場練習でも、足を痛めてトレーナーに診てもらう渡辺の姿があった。好調時でなければ、世界最強の中国ペアに勝つのは厳しいのではないかと思っていただけに、優勝には驚いた。そして、世界トップとの距離を確実に縮めていると感じた。
状況に応じた戦術選択に活路
中国ペアを破った準決勝は、渡辺が下がらずにプレー 【撮影:平野貴也】
渡辺は、準決勝を勝利した際に次のように話した。
「こっちがどれだけ思い切って行くかだと思っていた。後ろの信頼があったので(前に出ることで触れなかった球は)カバーしてもらう気持ちで。思い切って(自分が)前に入ることで相手が後ろに逃げられなかったり、思い切り振って(うまくミートせずネットに引っ掛けるなど)ガシャってくれたり。あのペアに関して、今日に関して言えば、この戦い方で正解だったと思う。攻めの形を作り続けたくて、そうなった」
今まで何度も完敗を喫して来た相手に対し、コンディションや調子の良さではなく、戦術選択と遂行力で勝てたことには、大きな価値がある。