世界バドミントン、女子ダブルスで五輪出場権に近付くのはどのペアか
優勝者に大きな特典、高ポイントの大会出場権を付与
五輪レースで少し離れた3番手の志田/松山も強い意欲で世界選手権に臨む 【撮影:平野貴也】
優勝者は、12月に控えるBWFワールドツアーファイナルズに招待される。この大会は、世界選手権に次いで高いポイントが設定されているが、年間成績優秀8組しか出場できない。また、五輪と同じく同一国最大2組の出場制限がある。最低でもベスト8のポイントを獲得できる上、参加できない国内のライバルに差をつけられる機会となる。五輪レースで日本勢首位を走る松本/永原は、9月開催のアジア競技大会で代表に選ばれておらず、福島/廣田、志田/松山の2組にポイント差を詰められる可能性があり、ファイナルズの出場権は先に取りたいところ。ほかのペアが勝ち取れば、ライバルに大きなプレッシャーを与えられる。誰も取れなければ、混戦模様が続く。
ライバルは中国と韓国、永原「海外の選手にしっかり勝ち上がらないと」
18年、19年に連覇をしている松本/永原。再び日本から世界女王は誕生するか 【撮影:平野貴也】
世界選手権でも、第1シードの陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジァ・イーファン=中国)、第2シードのペク・ハナ/イ・ソヒと第3シードのキム・ソヨン/コン・ヒヨンの韓国2ペアが優勝候補。五輪レースでは、韓国の2ペアが1位、2位を走っている。中国ペアは5位だが、日本勢が8大会を戦っているのに対し、まだ5大会しか戦っていない。それでも優勝3回、準優勝1回、ベスト8が1回と圧倒的な強さを見せており、今後、ポイントを伸ばして来る可能性が高い。中国のもう1組やタイの2組なども侮れない存在。日本勢同士で争った結果が、底上げにならずに、つぶし合いになるようでは、パリ五輪に2組出場の構想自体が崩れてしまう。
松本も「前回みたいに、8位の中の上位を誰が取るかの問題でなく、(五輪レースで日本勢が)8位以内にちゃんと入れるかの問題もある。日本チームとして2ペア出れたら良い結果だし、自分たちも上位を目指したい」と同国対決ばかりに気を取られず、世界のトップを目指し続ける姿勢を強調した。同じく東京五輪を経験している福島も「日本人同士もすごく大事だけど、それ以外のチャンスがあるところでどう勝ち切れるか。日本で6ペアが(ワールドツアーに)出ていて、海外の選手もレベルが上がっている中、チャンスが巡って来ることもなかなかない。1試合を大事に戦いたい」と対海外勢に意識を向けた。
五輪レースで最も高いポイントが与えられる世界選手権。見どころは、日本勢でどのペアが五輪出場に近付くかという点にある。ただし、その争いを高いレベルで行わなければ、パリ五輪の2組出場や、五輪のメダル獲得は見えて来ない。パリ五輪の前年に世界の頂点を争う大会。中国、韓国に対抗できる日本のメダル候補を強く印象付けるペアの誕生に期待がかかる。