バドミントン世界ジュニア女王の宮崎友花 高校選抜2冠で見せた最大の武器

平野貴也

全国高校選抜で女子の団体、シングルスで優勝した宮崎 【筆者撮影】

 女子バドミントン界に現れた期待の新星は、2つのタイトルを獲得する戦いの中で、大器の片りんをうかがわせた。バドミントンの全国高校選抜大会が3月28日に閉幕。昨秋に高校1年生で世界ジュニア選手権を制した宮崎友花(1年)は、団体戦で単・複に出場して柳井商工(山口)の3連覇に貢献した。さらに、個人種目でもシングルスで初優勝を飾り、2冠に輝いた。個人種目の初日は、プレッシャーを感じて自分らしいプレーができずに気にしていた部分もあるというが、終わってみれば、失ったのは決勝戦の第1ゲームのみ。4日間で10試合を戦い、すべてに勝利した。細身でフィジカル強化を課題に挙げているだけに、最後は疲労との戦いでもあった。足にけいれんが起こりそうな状況だったというが、察知させない安定した戦いを見せ「相手も疲れている。チームのエースとして最後まで(勝ち)残っている分、こんなところで弱気を見せたらいけないと思って、根気強く、最後まで頑張れたかなと思います」と手応えを話した。

奥原や山口に続く、日本勢4人目の世界ジュニア女王

 宮崎は、世界ジュニア選手権の女子シングルスで日本勢4人目の優勝者となったことで、注目度が高まっている。奥原希望(太陽ホールディングス)、山口茜(再春館製薬所)は、後にシニアの世界選手権でも優勝。3人目の優勝者である郡司莉子(再春館製薬所)も今季から日本A代表に選出され、躍進を期待されている。まだ高校1年生ながら、昨冬の全日本総合選手権では、予選から勝ち上がって16強入り。2023年は、日本B代表に選出された。未来の日本のエースとしての期待を受けている。

最大の武器は「相手の予測を外す」プレー

 スピーディーな動きと上からのショットを武器とする選手だが、最大の特長は、相手の予測を外すプレーだ。昨冬の全日本総合でも、シニアのトップ選手が逆を突かれ、苦悶の表情を浮かべてシャトルに飛びつく場面が何度も見られた。

 高校選抜でも、光ったのは、やはり相手の予測を外すプレーだった。真骨頂が見られたのは、団体戦の決勝。宮崎は、第2ダブルスと第3シングルスに出場。最後は2-2となり、第3シングルスで勝てば優勝というシチュエーション。第1ゲームを先取した後、第2ゲームは17-14から追い上げられて20-20と緊迫する展開となったが、得意技が炸裂した。相手のショートサービスに対し、それまではロブで相手の上体を煽る球出しで対抗していたが、いきなりネット際に切って落とす攻撃的な配球に切り替えて勝負。サービスを打った後、速いロブを警戒して後ろに下がろうとしていた相手が反応し切れず、足を滑らせるような格好になった。続いて21-21に追いつかれた場面から、再び同じプレー。連続して仕掛けるとは思っていなかった相手の逆を突いた。相手が後方に下がり切っていない状況でネット前に落としに行く配球は、予測されていれば早いタイミングで痛打されるリスクがあるが、思い切った勝負が奏功した。最後は上からのショットで23-21。宮崎は「攻めるには、相手に下から取らせることが大事。ずっと低いロブで勝負していたので、最後の勝負所でネットに切ったら、多分……。相手も後ろ気味に構えていたので、そっちの方がいいかなと思いました」と試合の流れ、相手の動きを見て変化をつけたことを明かした。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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