最強ペアとの距離縮める渡辺/東野 バドミントン世界選手権で初の金メダルなるか
遠藤コーチが1年前に断言「中国は別格じゃない」
しかし、次の週に大阪で行われたジャパンオープンで雪辱。相手は照準を合わせていた大舞台で優勝した直後。ベスト4まで勝ち上がれば決して悪い成績ではなく、大きなダメージのない敗戦だった。それでも、ベンチに入っていた遠藤大由コーチ(BIPROGY)は「すごいですね、しっかり勝ったのは。良い自信になったのでは。みんな(中国ペアは)別格じゃないと分かったでしょう。勇大たちは、やり方次第、その日のコンディション次第(で勝てる可能性がある)。別格というのは、相手が油断しても何をやっても勝てないもの。僕は、それを味わってきた」と勝てた事実に大きな価値を見出していた。
世界選手権が8月21日開幕、初の金メダルなるか
世界選手権でも初優勝の期待がかかる 【撮影:平野貴也】
1982年に始まり第40回大会を迎えたジャパンオープンで、日本勢が混合ダブルスを優勝したのは、初めて。表彰式後、優勝選手記者会見に臨んだ渡辺は「今は、結構、興奮していて。歴史を作るぞという気持ちでコートに入った。劣勢の場面もたくさんあったけど、最後まで諦めずにプレーした結果」と手応えを語った。
互角と言うのは、まだ少し早いかもしれないが、24年パリ五輪の金メダルに最も近い中国ペアに対し、距離を縮められていると感じる大会になったはずだ。ジャパンオープンの後に予定していたオーストラリアオープンは、出場を回避。次戦は、8月21日にコペンハーゲンで開幕する世界選手権となる。混合ダブルスで優勝すれば、日本勢初となる。
引き続き、コンディションは気になるところではあるが、ジャパンオープンと同様、状況に応じた戦術選択で頂点を目指す。渡辺は、会見で今後の抱負について「まだ五輪レースが続いていますし、どんな大会でも優勝を目指していく。どこかにターゲットを絞って勝てるような実力は、まだないと思っているので、毎試合が勝負。一番は、バドミントンを楽しめたらと思う」と話した。
中国ペアに挑み続け、工夫し続けることで力をつけてきた。東京五輪当時は、ともに24歳で若手だったが、渡辺が26歳、1学年上の東野が27歳となり、選手としての成熟期を迎えている。24年パリ五輪の金メダル獲得へ、少しずつ可能性を広げている2人。世界選手権でも歴史を作れるか、楽しみだ。