3週間後に迫ったバスケW杯 脱落あと3人の生存競争、最激戦区はウイング陣

永塚和志

現時点で渡邊雄太(写真)ら7人は代表に残りそうだが、残り8枠は流動的だ 【Photo by Robertus Pudyanto/Getty Images】

 FIBAワールドカップが3週間後に迫り、大舞台で日本男子バスケットボール代表に名を連ねるのが誰になるのか、注目が高まっている。

 日本協会は6月末に25名の代表候補リストを発表したが、継続して行われている合宿および、浜松でのチャイニーズタイペイ戦、韓国で行われた同国代表との強化試合などを通してその数は絞られている。

 直近ではテーブス海(アルバルク東京)とジェイコブス晶(ハワイ大)が代表候補から外れ、現状は、NBAの規定により28日から代表活動に参加できるようになった渡邊雄太(フェニックス・サンズ)を含めて15名が残る。

 ここからニュージーランド、アンゴラ、スロベニア、フランスとの強化試合を経て本番の12名の顔ぶれが決まる。つまりは3名が大会前に落選となるわけだが、日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチはどのような考えで選手を選定していくのだろうか。

渡邊、富樫ら7人を除く8つの枠を巡る熾烈な競争に

 現状、確実に12人に残ると見られるのは渡邊、帰化枠のジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)、富樫勇樹(千葉ジェッツ)、昨季はNBA Gリーグのテキサス・レジェンズでプレーした馬場雄大だ。

 次いで選出の確率が高いのが、昨シーズンの終盤に右脚を負傷し上述の浜松と韓国での強化試合で登録メンバー入りをしなかった河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)と吉井裕鷹(アルバルク東京)、天才的なシューターの富永啓生(ネブラスカ大)だろう。

 ホーバスHCが先月の公開練習時に「ここからの数週間での選手たちのパフォーマンス次第」と話したこともあり、この7人以外の椅子に誰が座るかの競争は直前まで続きそうだ。しかし、チーム編成の中ではまず各ポジションの選手配分をするかが予想を立てる上でまず参考になる。

 スペースを広くとってアウトサイドからオフェンスを展開し、ドライブインや3Pからの得点を中心とするホーバスHCのチームでは、センターとパワーフォワードのインサイド陣、スモールフォワードとシューティングガードのウィング陣、そしてポイントガード陣と分けて人数分配がなされると考えられる。

 その中で、八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)が今回のワールドカップを辞退したことでその分配にも影響が出ている。パワーフォワードでの起用を考えていた八村の不在が決まったことで、当初はスモールフォワードで使われる予定だった渡邊雄太をパワーフォワードに移すことが濃厚となったが、ファールトラブルになった時のことも想定してインサイド陣の頭数を確保しておかねばならない。

 もっとも、日本に有能なビッグマンが数多く存在するわけではない。ホーキンソン、渡邊雄太、渡邉飛勇、そして今年2月に代表デビューを果たしたばかりながらホーバスHCから「プロらしくなった」と高評価を受ける川真田紘也(滋賀レイクス)の4名で臨む可能性は高くなってきたのではないか。

 昨夏、所属チームではほとんど出場時間を得られていなかったにもかかわらず代表に招集されてきた井上宗一郎(越谷アルファーズ)は、浜松の強化試合ではプレーに精彩を欠いた。だが、ホーバスHCはワールドカップ・アジア地区予選が終わった際に「われわれのシステムでは4番(PF)の選手は多くのシュートを打って得点せねばならない」と述べている。そうしたことを勘案すると、3Pに長ける井上が残る可能性もまだ十分にあるようにも思われる(同HCの話しぶりからすると川真田と井上の2名のどちらかを選ぶようだ)。

 ホーバスHCがもっとも選考で頭を悩ませるのがウイング陣だ。ここは計5名で、残りの3名がPGとなると予想されるが、後述する西田優大(シーホース三河)が実質PGとして選考されそうだということを考えると、比江島慎(宇都宮ブレックス)、須田侑太郎(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、原修太、金近廉(ともに千葉ジェッツ)がボーダーラインにいて、ここから2名が選ばれるのではないか。

選考の難しさを示唆 「プラスとマイナスのある選手がいっぱいいる」

須田侑太郎(左)と西田優大(右)には異なる強みがある 【(C)B.LEAGUE】

 選手選考についてこれまで何度も聞かれてきたホーバスHCは、その都度「それぞれの選手にプラスとマイナスがあってチームにとってどの選手が適しているのかを考えている」と返答してきた。

「西田は富永みたいに3Pは入らないけど、ディフェンスがよくできる。比江島はペイントアタックもシュートも上手。だけど、西田のほうが強くて、ディフェンスが良い。須田選手もこの1年間すごく良い仕事をしたけど、この合宿ではそんなに3Pが入っていない。けれど、彼もディフェンスができる。だから本当にプラスとマイナスのある選手がいっぱいいるんですよ」

 チャイニーズタイペイとの強化試合を終えた同HCのこうした言葉が、選考の難しさを示唆している。

 一昨年の東京オリンピックでホーバスHCは、同じく指揮官として日本女子代表を史上初の銀メダルに導いている。この時も選手たちに「役割」を与えたことが奏功した。このやり方は男子代表でも同じで、各自が明確に「やるべき仕事」を言い渡されている。比江島であればドリブルによるペネトレーション、須田なら3P、原はディフェンスといった具合にだ。

 選考を予想する上でわかりやすい例として、須田に触れる。彼は出場した強化試合3試合でその役割である3Pが15分の3(成功率20%)と不調だ。ホーバスHCは、東京オリンピックの女子代表の選考で「ある選手が3Pを4割以上入れていたら、実際に選ばれた林咲希(Wリーグ・富士通レッドウェーブ)を選んでいなかったかもしれない」ということを口にしており、その例に倣うと須田も微妙な状況に置かれていると考えられる。

 だが、出場した韓国での試合でいいディフェンスができたと語る須田本人は自身を「シュートだけの選手ではない。逆を言えばシュートの調子が上がってくればまた(選考における状況も)変わってくる」と前向きな姿勢を崩していない。3Pが2Pの1.5倍で得点効率を考えながら戦う「アナリティック(分析)・バスケットボール」をホーバスHCは標榜しており、毎試合30から40以上の試投数を狙うスタイルの中でシューターとして役割に徹しきって打ち続けることのできる須田を、あるいは欠かせない「駒」だと考える可能性も大いにあるだろう。

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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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