19歳・金近が衝撃的な代表戦デビュー W杯予選イラン戦から見えた日本バスケの“希望”とパリ五輪出場

大島和人

23日のW杯予選イラン戦に日本は96-61で大勝 【写真は共同】

 2月23日に、群馬県の高崎アリーナで開催された「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」イラン戦は、日本のバスケットボール界にとって極上の“サプライズ”だった。

 男子日本代表は今夏にワールドカップ(W杯)を控えている。フィリピン、日本、インドネシアの3カ国共同開催で、日本はファーストラウンド(=予選ラウンド)、セカンドラウンド(もしくは順位決定戦)の計5試合を沖縄で戦う予定だ。日本は予選にも参加しているものの、結果と無関係に本大会は出られる。一方でイランは予選2試合を残してまだW杯出場を決められておらず、日本以上に勝利を必要とする状況だった。

 さらに男子の世界ランキング(2022年11月発表)はイランがアジア最上位の20位で、日本は38位。つまりイランは格上だ。22年8月23日のアウェイ戦も、イランが79-68と勝利している。そんな強敵を日本は96-61と圧倒した。

※リンク先は外部サイトの場合があります

新戦力が台頭したイラン戦

 トム・ホーバスが男子日本代表のヘッドコーチに就任してまもなく1年半。井上宗一郎(サンロッカーズ渋谷)、吉井裕鷹(アルバルク東京)など、若手の登用が進んでいた。また東海大を中退してプロに専念している21歳のポイントガード(PG)の河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)も、今季のBリーグでは圧倒的なパフォーマンスを見せている。河村はイラン戦も16分17秒の出場で15得点4アシスト、フィールドゴール成功率100%という大活躍を見せた。

 ただ、イラン戦の“サプライズ”はホーバス・ジャパン初参加の新顔が見せたパフォーマンスだ。ジョシュ・ホーキンソン(信州ブレイブウォリアーズ)は2月6日に日本国籍の取得が認められたばかり。208センチ・106キロのビッグマンで27歳と若く、機動力やスキルも持ち合わせるモダンなプレイヤーだ。渡邉飛勇(琉球ゴールデンキングス)はハワイ育ちの24歳で、207センチ・106キロとやはり大型。過去2年は怪我でほとんどプレーできておらず、荒削りな部分もあるが、「跳ぶ」「走る」といった要素はずば抜けている。

 イラン戦はホーキンソンが23分28秒の出場で11リバウンド、渡邉飛勇が13分19秒の出場で8リバウンドとゴール下で奮闘。チームリバウンドも「48対33」と日本が圧倒した。

 ホーバスHCは2人の活躍、それぞれとの向き合いについてこう振り返る。

「(渡邉)飛勇の強みはリバウンドと、アップダウンの走り。でも飛勇は2年間あまりプレーできなかったから、『あなたの仕事はこれ』と(シンプルに)伝えた。ジョシュ(ホーキンソン)はメインの選手だし、パスもシュートもドライブも色々できるから、今週は色々な会話をしました。迷っていたら良いバスケットはできないから、迷っている選手たちがいたら、シンプルにこれをやってくださいと(伝えるようにした)」

19歳・金近がチーム最多得点

 金近廉はチーム最多の20得点を挙げ、ホーキンソンや河村とともに攻撃の立役者になった。東海大2年で、まだ19歳(2003年3月11生まれ)のスモールフォワード(SF)だ。昨年12月のインカレ(第74回全日本大学バスケットボール選手権大会)では東海大の優勝に貢献している。関西大学北陽高時代には年代別代表の海外遠征に参加し、その主将も任された。とはいえ一般的にはまだ無名の大学生だ。

 196センチの金近は一言でいえばオールラウンダーで、若手19名が参加して代表合宿の直前に行われた若手有望選手の“ディベロップメントキャンプ”にまず招集されていた。そのまま代表合宿に繰り上がり、W杯予選のシンデレラボーイになった。

 イラン戦はベンチスタートだったもの、第2クォーターに8得点、第3クォーターに3得点を挙げると、第4クォーターには3ポイントシュートを3連続で成功するなど9得点。試合を通した3ポイントシュートの成功率は「10分の6」を記録している。

 ホーバスHCは金近の活躍について述べる。

「金近はディベロップメントキャンプで、間違いなくMVPだった。特別だな……と思ったし、長いスリーも入れて、DFもよくやって、ドライブの判断も良かった。196センチで、若いけど身体がもう大人で強い。A代表の合宿に入って、ちょっと緊張したのかアグレッシブさが少し無くなったんですけど、彼は試合に出ると結構やる。ディベロップメントキャンプは試合を結構やったけど、そこでも金近は今日みたいにすごかった。あれ(金近の活躍)を見るとすごく楽しいし、嬉しいです。19歳、あれくらいのA代表デビュー、スゴいです」

1/2ページ

著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント