工藤公康「春季キャンプはシーズンのスタートではない」 選手時代に重要視した取り組みとは?
選手時代の工藤氏は、どんな考えを持ってキャンプに臨んでいたのだろうか? 【写真は共同】
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シーズンが終わった瞬間に来季が始まる
「野球におけるお正月」とも呼ばれる春季キャンプ。確かに「シーズンのスタート」という印象が読者のみなさんも強いのではないでしょうか。
しかし、最初にお伝えしておきます。春季キャンプを「スタート」という位置付けで取り組んでいる選手はほとんどいないと思っています。チーム全体での活動という意味では、「スタート」なのかもしれませんが、選手個人や監督が「スタートは春季キャンプから!」と考えているようでは、とてもではありませんがシーズンに間に合いません。
私が監督の時には、「シーズンが終わった瞬間が次のシーズンのスタート」と考えていました。厳密に言えば、シーズンの終盤には、すでに来季を見据えています。春季キャンプというのは、あくまで確認作業です。その上で修正をしたり、開幕までの2ヶ月弱でどのように仕上げていくのか計画を立て、準備とシミュレーションありきでキャンプを行っていきます。今回は選手時代のキャンプを振り返っていきますので、監督時代のキャンプの話は次回以降に深掘りしたいと思います。
オフの自主トレに励む現役時代の工藤氏(1993年) 【写真は共同】
選手時代は、秋季キャンプ、もしくはシーズンを終えて1週間から10日後、がスタートだと考えていました。秋季キャンプは、主に若い選手が練習やトレーニングに取り組む印象があるかもしれませんが、主力選手も、ジョギングやストレッチを組み合わせ、シーズンの疲労などをとりつつ、来シーズンの土台を築いていくのです。私自身も若い頃からそう考えていたわけではありませんが、春季キャンプ・来シーズンに向けた準備を、11月~1月に取り組んでいました。オフシーズンの取り組みが、キャンプの中身に大きく影響を与えます。どれだけ体力を養い、キャンプまでに貯金を作ることができたか。選手時代は、そこも重要視して取り組んできました。
技術練習やチームでの基本的な連携プレーなどの練習を繰り返し反復するためには、体力が必要になります。疲労から回復する能力や、疲れにくい身体があるからこそ、ケガのリスクを抑えて練習を反復することができます。