進化を続ける早田ひなは「パリで勝つ」 五輪選考対象の女子シングルスで快勝発進

平野貴也

混合ダブルスを制した早田。3年ぶりのシングルス制覇、そしてパリ五輪を見据えて戦いに挑む 【写真は共同】

 ひなが走る、ひた走る。3年ぶりの全日本制覇、そして、その先に見据えるパリ五輪の頂点を目指して。1月23日から東京体育館で行われている2023年全日本卓球選手権大会に出場している早田ひな(日本生命)が26日、張本智和(IMG)とのペアで出場した混合ダブルスで2連覇を飾った。混合ダブルスの前には、伊藤美誠(スターツ)と組む女子ダブルスで初戦を突破。混合ダブルスの後には、本職の女子シングルスで大川真実(愛知工業大)を破り、初戦となった4回戦を突破した。

混合ダブルスで2連覇、張本も称賛のフォアハンド炸裂

 混合ダブルスでは、落ち着いた戦い方を見せた。準々決勝では、優勝候補の篠塚大登(愛知工業大)、木原美悠(JOCエリートアカデミー)と対戦。第1ゲームは9-10から13-11で逆転と苦しい展開だったが、張本と話しながら、決め急ぎのミスを減らしたラリーで対応。3-0のストレートで勝利した。決勝戦では田中佑汰(愛知工業大)、田中千秋(豊田自動織機)を3-0で撃破。早田は正確なショットでつなぎ、張本の得点につなげる形が多かったが、時折、得意のフォアハンドで強襲した。

 身長167センチの恵まれた体格で左利き。ダイナミックなスイングから強打、スピードドライブ、ループドライブを打ち分けるフォアハンドは、早田の武器。張本も「男子並みのパワーで一撃で点を取る力があるし、素早いカウンターもできるので、男子ダブルスのように組み立てられる」とパートナーの攻撃力を称賛していた。早田、張本は、女子と男子の主力選手。このペアでの将来について、張本は「パリ五輪の混合ダブルスの金メダルを目指しているので、来年以降の全日本も出たい」と明言。早田も「東京五輪で水谷隼選手と伊藤美誠選手が金メダルを取って、次のパリ五輪で、私たちが出場する機会があったときに、東京五輪の優勝を受け継げるように頑張っていきたい」と日本勢の五輪2大会連続優勝をこの種目で狙う意思を示した。

3年ぶりV目指すシングルスは、パリ五輪選考対象

 早田が「出場する機会があったときに」と話したのは、パリ五輪の日本代表選手を優先的に決定するのはシングルスだからだ。日本卓球協会は、各大会のシングルスの成績に応じて選手にポイントを付与し、1年後の2024年全日本卓球選手権を終えた段階で男女の上位各2名が代表選手となる選考方法を採用している。早田は、ここまで5大会で164ポイントを獲得して首位。今大会も選考の対象となっており、優勝の60ポイントを加算してリードを広げたいところだ。

 初戦となった4回戦は、序盤にバックハンドのコントロールが定まらず第1ゲームを7-11で落としたが、鮮やかに立て直して4ゲームを連取。「サーブが上手い選手で見極めるのに集中し過ぎて、相手のボールの感覚を読むのが難しかったが、2ゲーム目から完全に、自分の得意な所と相手の弱い所で勝負できた。2ゲーム目の切り替えはすごく良かったと思う」と手応えを語った。混合ダブルスでもそうだったが、試合の中で落ち着いて状況に対応していくあたりには、調子の良さや自分の武器ばかりに頼らず、総合力で勝負できる自信がうかがえる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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