水谷隼は天才ではない 卓球の才能を開花させた方法とは?

水谷 隼
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天才にはなれなくても、才能というものは必ず開花すると話す 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 9月30日より中国・成都で行われている世界選手権団体戦。大会に合わせてスポーツナビでは、過去の団体戦で銀メダル1つ、銅メダル6つを獲得した水谷隼の書籍「卓球王水谷隼 終わりなき戦略 勝つための根拠と負ける理由」の一部を掲載します。

才能を開花させるための方法を知っている

 周囲からは天才と呼ばれるが、私は自分のことを天才だとは思っていない。

 天才というのは物理学者のアインシュタインのように常人が及ばないひらめきを持っている人で、創造力、想像力、発想力が他の人と違う人のことを言うのだろう。

 卓球のフィーリングで言えば、張本智和、林昀儒、カルデラノなどの選手たちは「天才的な」ボールタッチを持っている。私は天才ではないけれど、同じような「天才的なボールタッチ」はあるかもしれない。一方、丹羽孝希には天才的な発想力がある。

 中国の劉国梁・前男子監督( 元五輪金メダリスト・現中国卓球協会会長)はある種の天才かもしれない。他の人が思い浮かばないような仕掛けをしたり、驚くようなことを実行する人である。スウェーデンのワルドナー( 元五輪金メダリスト)は引退する前のプレーを見ているが、彼はやはり天才だったと思う。戦術や技術のひらめきを持っていた。中国に「ワルドナーのマネはできない、対策を講じられない」と言われたのは、彼が天才だった証拠だろう。

 私は天才ではないけれども、才能を開花させる方法を知っていたとは思う。天才と才能ある選手というのは、ある意味では近い。私は他人よりは才能が少しばかりあるかもしれないが、それよりも自分の才能をどう発揮するのか、どう開花させるのかということを考え、努力してきた。
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