接戦に弱いイメージを払拭した神村学園 試練の夏を乗り越え“新しい景色”を見に行く

松尾祐希
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福田や大迫だけでなく、下級生にも優秀な人材がそろう神村学園。初出場でベスト4入りの06年度大会を超え、狙うはもちろん悲願の日本一だ 【松尾祐希】

 6年連続10回目の全国高校サッカー選手権大会出場となる九州の強豪・神村学園だが、2009年度大会のベスト8を最後に、3回戦の壁を破れずにいる。しかし、エースの福田師王を筆頭に、個性的なタレントを数多く擁する今年のチームが、大きなことをやってのける可能性は十分だ。夏に味わった試練も糧に、混戦模様の今大会で悲願の初優勝を掴み取りたい。

これまでのチームにはなかった“色”

 初めて全国の頂点に立ったとしても、驚きはないだろう。

 ブンデスリーガの強豪ボルシアMGへの入団が決まった高校No1ストライカー、福田師王(3年)、J1のセレッソ大阪入りが内定している世代屈指の司令塔、大迫塁(3年)。今大会の主役となり得る逸材2人を擁する神村学園が、悲願の日本一を目指して真冬のビックトーナメントに挑む。

 細かなパスワークと高度な個人技を織り交ぜた攻撃をベースに、近年躍進を遂げてきた神村学園だが、今年のチームは例年とは少し様相が異なる。技術力に優れた選手が揃っていた昨年のチームと比較しても、巧さの面で見劣りするのだ。2月に大迫に話を聞いた際も、「今年はボールを繋げない。全然巧くない」と課題を口にしていた。

 しかし一方で、これまでのチームにはない“色”もある。明確な武器を持った選手たちの個性を生かす、縦に速い仕掛けだ。

 U-16日本代表で、すでにJクラブが獲得に動いている左SBの吉永夢希(2年)はドリブル突破と左足のキックが、右SBの有馬康汰(2年)は推進力が持ち味の有望株。サイドハーフに入る積歩門(3年)と高橋修斗(2年)はともにクロスの質が高く、最前線の西丸道人(2年)は小柄ながらパンチの効いたシュートと機動力で前線を掻き回す。さらに控えの技巧派FW名和田我空(1年)も、10月のU-17アジアカップ予選に吉永とともに参戦した実力者だ。ゴール前で違いを作れる稀有なタレントは、スタメンで起用されても途中投入でも相手にとって厄介な存在になる。
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著者プロフィール

1987年、福岡県生まれ。幼稚園から中学までサッカー部に所属。その後、高校サッカーの名門東福岡高校へ進学するも、高校時代は書道部に在籍する。大学時代はADとしてラジオ局のアルバイトに勤しむ。卒業後はサッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフ千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

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