予選から波乱続出の高校サッカー選手権 2冠狙う前橋育英が中心も混戦か

平野貴也

インターハイ王者の前橋育英(左)や前回王者の青森山田(右)らが覇権を争う 【平野貴也】

 未来の日本代表は出てくるのか。第101回全国高校サッカー選手権が28日に開幕する。ワールドカップで日本代表の戦いぶりに刺激を受けた若い世代が、激戦を繰り広げる。高校生にとっては、シーズン最後の大舞台。今季は、予測不可能な混戦模様だ。夏の王者に輝いた前橋育英(群馬)か、前年王者の青森山田(青森)か、はたまた初出場校の躍進か。

帝京、静岡学園、流経大柏、帝京長岡など、強豪が続々と予選敗退……

 今季は夏のインターハイで接戦が多く、プレミアリーグも実力が拮抗。全体的に実力差が小さく、混戦が予想される。都道府県大会では続々と有力校が姿を消した。プレミアリーグを戦う流経大柏(千葉)は初戦で敗退。同じくプレミア勢でMF高橋隆大(3年、G大阪内定)、DF行徳瑛(名古屋内定)のプロ内定2人を擁する前回4強の静岡学園(静岡)も県大会準決勝で涙をのんだ。インターハイ準優勝の帝京(東京)、同ベスト8の矢板中央(栃木)、19年・20年度に全国4強入りの帝京長岡(新潟)など多くの有力校が、都道府県の決勝に進むこともできずに敗れ去った。

2冠を狙う夏の王者・前橋育英が筆頭候補

 大混戦の中で有力校の筆頭に名が挙がるのは、夏のインターハイを制した前橋育英(群馬)だ。山田耕介監督が「今年は飛び抜けた子はいないけど、平均より良い子が多い」と話すように、高卒でプロに進む選手はいないが、どのポジションにも個性あふれる選手をそろえており、MF徳永涼(3年)を中心としたポゼッションからのアタックには定評がある。「崩しが上手い」という点では、最も高い評価を得るチームだ。インターハイ上位組では、ベスト4だった昌平(埼玉)も評価が高い。こちらもパスワークに優れたチームで、FW荒井悠汰(3年)はFC東京、DF津久井佳祐(3年)は鹿島への来季加入が内定。インターハイでは津久井が負傷欠場した準決勝で敗れており、フルメンバーで日本一に再挑戦する。

 もう一つは、同じくベスト4だった米子北(鳥取)。上記2校とは異なり、守備がベースの手堅いチームで、インターハイの前橋育英戦もPK戦での敗退で惜敗だった。昌平と米子北は、それぞれプリンスリーグの関東、中国で優勝し、12月半ばに行われたプレーオフで来季からのプレミアリーグ昇格も決めており、勢いを保っている。

前回2位の大津、主力がプロ内定の履正社も上位候補

大阪代表の履正社は名願(右)と西坂がプロに内定済み 【平野貴也】

 ほかに、戦力が充実しているチームでは、インターハイ8強で前回準優勝の大津(熊本)の名が挙がる。長身FW小林俊瑛やMF田原瑠衣(ともに3年)は、昨季も主力。あと一歩届かなかった優勝旗をつかみに行く。

 同じプレミアWESTでしのぎを削った履正社(大阪)も充実のラインナップを誇る。ドリブルの名手MF名願斗哉(3年)と攻撃的サイドバックの西坂斗和(3年)は、それぞれ川崎Fと徳島に加入内定。FW古田和之介(3年)は、大津の小林と並び、プレミアWESTで得点ランク2位タイにつける活躍を見せた。インターハイでは16強止まりだったが、上位に食い込む力を持っている。プレミアEASTで4位となった青森山田(青森)も連覇の可能性は十分に秘めている。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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