前橋育英が選手権優勝に最も近い位置にいる 慢心など微塵もない夏の王者が初の2冠を狙う

土屋雅史
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優勝候補の最右翼との呼び声が高い前橋育英。上州のタイガー軍団は、準々決勝で散った昨年度の大会のリベンジに燃えている 【写真は共同】

 12月28日に開幕する第101回全国高校サッカー選手権大会は、昨年度の青森山田のような大本命は不在で、多くのチームにチャンスがあるだろう。そんななかで優勝に一番近いと目されるのが、夏のインターハイを制した前橋育英だ。GKから前線まで有能な選手が揃う上州のタイガー軍団は、2017年度大会に続く2度目の選手権制覇を果たし、自分たちが追い求めてきたものの価値を証明できるか。

初参戦のプレミアで経験値と戦闘力がアップ

徳島で開催されたインターハイでは、帝京との決勝を1-0で制して13年ぶり2度目の優勝。夏の王者として選手権に臨む 【写真は共同】

 優勝候補筆頭、と言って差し支えないだろう。それだけの努力を積み重ねてきた自負が彼らにはある。上州のタイガー軍団、前橋育英のことだ。

 今年のチームは、悔しい記憶からスタートしている。1月4日。フクダ電子アリーナで行われた高校選手権準々決勝。試合を通じて押し込み続けながら、大津にワンチャンスを決められ、前橋育英は敗退した。

「大津に負けた時の光景は、今でもフラッシュバックしてくるんです」と話したのは、2年生からチーム伝統のエースナンバーとして知られる14番を背負ってきた徳永涼(3年)。「選手権でリベンジしたい」という想いが、この日から彼らの胸に刻まれた。

 選手の経験値を上げてくれたのは、今シーズンから初めて参戦することになった高円宮杯プレミアリーグだ。5度目のチャレンジとなった昨年末のプレーオフを勝ち抜き、ようやく辿り着いた国内最高峰のステージは、名将・山田耕介監督をして「毎試合が全国大会のような試合」。トップチーム昇格選手や年代別代表選手を抱えるJクラブのアカデミーをはじめとした強豪と対戦する日常を通じて、チームは確実に戦闘力を増していく。

 とりわけ印象的だったのは、5月にホームで開催された青森山田戦。アースケア敷島サッカー・ラグビー場に1000人を超える観衆を集めたゲームは、華麗なサッカーを披露した上で3-2と勝利を収める。

「自分たちがボールを回すことがあくまでも先手で、その回しているのに遅れて山田がついてくるという感じだったので、やっていてすごく楽しかったですし、手応えもありました」と試合後に徳永も話した通り、前年度の3冠王者を内容で圧倒して掴んだ白星は、チームの自信を確信に変える。

 すると、勢いそのままに挑んだインターハイでも、前橋育英は真夏の徳島で躍動する。

 長崎総科大附属、磐田東(不戦勝)、聖和学園を次々と撃破し、準々決勝では矢板中央のロングスローに苦しめられながら、なんとか逆転勝利。さらに準決勝の米子北戦ではPK戦を制して、ファイナルまで勝ち上がる。優勝をかけた帝京との一戦も一進一退の攻防が続くなかで、10番を託された高足善(3年)が後半のアディショナルタイムに劇的な決勝ゴール。13年ぶりとなる夏の日本一を逞しく手繰り寄せた。
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著者プロフィール

1979年8月18日生まれ、群馬県出身。高崎高3年時にインターハイでベスト8に入り、大会優秀選手に選出される。2003年に株式会社ジェイ・スポーツへ入社。サッカー情報番組『Foot!』やJリーグ中継のディレクター、プロデューサーを務めた。21年にジェイ・スポーツを退社し、フリーに。現在もJリーグや高校サッカーを中心に、精力的に取材活動を続けている。近著に『高校サッカー 新時代を戦う監督たち』(東洋館出版社)がある。

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