[連載小説]I’m BLUE -蒼きクレド- 第26話「ブラジル戦で証明された力」
日本代表の最大の弱点とは何か?
新世代と旧世代が力を合わせ、衝突の中から真の「ジパングウェイ」を見いだす。
木崎伸也によるサッカー日本代表のフィクション小説。イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。
※リンク先は外部サイトの場合があります
これから日本代表は国立競技場でブラジルと対戦する。アルゼンチン、デンマークと同組になった半年後のワールドカップ(W杯)に向けて重要なシミュレーションだ。
玉城がタオルを頭にかぶってシャワーから出てくると、主務の勝吉進一が壁に3枚の標語を張っていた。
「サッカーの未来を変える」
「碧と蒼」
「サッカーバカ」
4日前、日本代表は現役選手とOBたちが集結し、オールスターミーティングを行った。そこで各自からクレドが提案され、この3つがブラジル戦に向けて採用された。ただしあくまでこれは暫定的なもので、定期的にオールスターミーティングを開催することも併せて決まった。
あのミーティングから日本代表の空気は一変した。選手たちが積極的に話し合うようになったのだ。
新たに始まったのが毎朝15分のタクティカルブリーフィングだ。
朝食後に食事会場に残り、選手がフォーメーションの形に並んで、テニスボールを使って戦術的な動きを確認する。
「複雑なポジションチェンジを実現するため、毎日ディスカッションしませんか?」
玉城が提案したところ、キャプテンの高木陽介がすぐに採用してくれたのだった。
ベテランの「碧」と若手の「蒼」をひとつにするために、食事の席を固定せず、毎日AIを使ってシャッフルする試みも始まった。
ロッカールームの円陣についても慣習を変えた。これまではキャプテンがスピーチしていたが、先発以外の選手が担当することになった。
ブラジル戦で秋山大監督から指名されたのは、出場停止中の加藤慈英。
慈英は肩を組む仲間たちに向かって、声を張り上げた。
「みんなニュースを見ただろう。昨日、ブラジルのやつらは秋葉原の電気街で買い物をしてやがった。開始1分で観光気分のやつらを本気にさせろ。そのうえでたたき潰せ!! カナリア色のユニフォームにびびるんじゃねえぞぉ‼︎」
玉城は通路でブラジルの選手の横に立つと、慈英の言葉の意味がわかった。
カナリア色をまとった選手たちは談笑し、これからカーニバルへ行くのかと思うほどリラックスしている。彼らの目の色を変えなければ、W杯の予行演習にはならない。
【(C)ツジトモ】
続きはスポーツナビ公式アプリ(無料)で読むことができます。
- アプリケーションはiPhoneとiPod touch、またはAndroidでご利用いただけます。
- Apple、Appleのロゴ、App Store、iPodのロゴ、iTunesは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。
- iPhone、iPod touchはApple Inc.の商標です。
- iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
- Android、Androidロゴ、Google Play、Google Playロゴは、Google Inc.の商標または登録商標です。
- 前へ
- 1
- 2
- 次へ
1/2ページ