2022ドラフト12球団指名評価(指名総括) 3氏が最も評価した球団は? 新人王候補は誰だ!?
高松商の浅野を引き当てた巨人はドラフト1位抽選の連敗を6で止めた 【写真は共同】
そんな今年のドラフト指名を、ドラフトに精通した3人の識者に、球団ごとにそれぞれ振り返ってもらった。最終回となる今回は今年のドラフトの総括と、新人王の可能性を秘めた選手について語ってもらった。
各球団の狙いが分かりやすかった今年のドラフト
ソフトバンクのイヒネの事前公表1位にはドラフト識者の3氏も驚いた 【写真は共同】
西尾 やっぱり今年は1年目から活躍できそうな完成度のある、本命となる大学生のピッチャー、野手が全体的に少なかったというのがありましたね。そういった本命がいなかったこともあって、事前公表した9球団は1位で外したくないというのがあったのかなと思います。ちょっとそれが露骨に出たかなという気がしますね。
2位以下の指名では各球団の狙いが分かりやすかった気もしました。即戦力のピッチャーが欲しい球団は社会人のピッチャーを結構上の順位で獲ったなと思いますし、逆に将来に振り切ったチームは高校生の野手を上の順位で来たなと思いましたね。
菊地 今年は不作とも言われていたんですけども、逆にソフトバンク1位のイヒネのように、化けたらすごいぞという選手が例年よりひょっとしたら多かったんじゃないかなというくらい、楽しみな選手が多かったかなと思いました。
全体的に見たときに、「この選手がこの順位まで残ってしまうのか!」というケースが個人的には多くて、僕の選手を見る目がないのか、それとも評価はされているんだけれどもエアーポケット的に残ってしまっただけなのか分かりませんが、これはプロに入った彼らの活躍によって、「菊地の見る目は間違っていなかったぞ」というのを証明して欲しいという気持ちです(笑)。
花田 目玉不在と言われる今年のドラフトでは、例年以上にウェーバー指名を各球団がどう生かすが重視されるドラフトだったかなと思いました。その辺りでそこを上手く生かした球団と、うーん、という球団が分かれたなという印象です。
3氏それぞれの2022ドラフト予想外と驚き
田中幹也の6位指名が「ショックだった」と菊地氏は振り返る 【写真は共同】
西尾 僕はイヒネの1位指名ですね。外れ、外れくらいでサプライズの1位、または2位の初めの方で指名はあってもおかしくないとは思っていましたけど、いきなり1位でいくとは思いませんでした。しかも事前公表でしたし、公表しなくても獲れたと思うんですけど、まぁソフトバンクとしての意思を表明したかったんでしょうね。
菊地 僕は亜細亜大の田中幹也が6位まで残っていたことですね。驚いたというかショックでしたよね。個人的にはロッテ1位とか全然あってもおかしくないと思っていたんです。来年の新人王候補と言ってもいいくらいの見方を僕はしていたので。そんな選手が指名漏れしちゃうんじゃないかと思うくらいまで残っていたのが、やっぱりショックでしたね。
花田 僕は今年は上位に外野が多いなと思いましたね。あとはまぁ事前にちょっと言っていましたけど日本ハム3位の加藤ですね。本当に指名したんだ、みたいなね。
――立大の山田が指名漏れしたことに驚いたドラフトファンも多かったようですね。
西尾 プロ側は長打が打てる「山田」というのを期待していたと思うんですけど、本人は「広角に打てるのが持ち味です」と話していたりして、その辺のプロが求めるものと本人が目指しているものが、うまく合わなかった気がしますね。
ずっと見てきましたけど力強いバッティングをあんまりしていなかったですし、逆にその間に慶応大の萩尾(巨人2位)が力をつけて「こっちの方が打つじゃん」みたいな感じになった印象がありますよね。
――ちょっと長所が見えづらい感じだったということでしょうか?
西尾 そうですね。守備も走塁も普通ですし、下手ではないですけど守備範囲も広くないですし、プロでセカンドだと物足りないのでやっぱり打ってなんぼの選手だと思うんですよね。だからガンガン打たないと評価されない選手だったと思いますね。
菊地 基本的には西尾さんが仰ったとおりだと思います。セカンドを守れる右の強打者なので、プロからめちゃくちゃ需要があるはずなんですけどね。
下級生の頃は力強さがあったんですけど、それが変に上手さみたいなものも見せようとしたのか、打率も残そうとして結果的にインパクトを弱めたというか、力強さが感じられなくなった、そんな状況になってしまったのかなと。
とはいえ、3、4位辺りで指名されるのかなと思っていたので、指名漏れするというのは想像外でしたね。
【画像提供:Timely!編集部】