鳥谷敬の「パ・リーグ○×予想」答え合わせ 今季の注目選手たちの活躍を独自の視点で分析
2022年のプロ野球前半戦が終わったところで、鳥谷氏にパ・リーグ注目選手の活躍について分析してもらった 【写真は共同】
山本由伸でさえも「無理をさせない」昨今の状況では20勝は難しいと鳥谷氏は話す 【写真は共同】
3月の鳥谷氏の予想「×」
3月時点での鳥谷氏の見解
「山本投手の実力は素晴らしいものがありますが、これは難しいと思います。20勝となると、ローテーションで28〜30試合は投げる必要が出てきます(昨季は26試合)。昨年200イニング近く(193.2イニング)投げた中で、少なからず疲労も残っているでしょうし、中6日で1年間投げることは考えづらい。また、近年は相性のいい球団にぶつけるために、あえてローテーションを1回飛ばす起用法も増えています。総合的に考えて、「そこまで無理をさせないのでは?」というのが一番の理由です」
山本由伸7月24日時点での成績
勝利 10(1位) 防御率 1.81(4位) 奪三振 128(1位)
後半戦の登板数を考えると、やはり難しいと思います。残り試合数がおよそ50試合で、中6日で回ったとして、先発での登板は8試合。すべて勝ったとしても、20勝には手が届きません。
――かなりハードルが高い数字ですね。
シーズン開幕時から、中5日や中6日で投げ続けて、先発で30試合の登板があれば、20勝も可能かもしれませんが、そこまで無理をさせる球団は減ってきています。疲れが見えるようであれば、意図的にローテーションを飛ばして、コンディションを上げることを重視する。それが、先発として長く活躍するためのトレンドになっているので、今後、20勝投手は出にくくなるかもしれません。
――前半戦終了時点で、パ・リーグは防御率1点台のピッチャーが4人もいます。「投高打低」と言われていますが、ピッチャーのレベルが上がっていると感じますか?
確実に上がっています。いつの時代も、ボールを持っているピッチャーが先に進化をして、バッターはそのボールに合わせていくことが繰り返されています。昔は、ストレート、カーブ、スライダーが主で、バッターは重たいバットを使って遠くに飛ばそうとしていました。ピッチャーが打ち取れなくなってきたところで、ツーシームやカットボール、スプリットなど小さい変化球が流行り始めた経緯があります。バッターはその流れに合わせて、操作性が高い軽いバットを使うようになりました。今後、ピッチャーの進化に合わせて、バッターがどのように対応していくか、私自身も注目したいと思います。