みんなで考えるプロ野球前半戦総括&後半戦展望

鳥谷敬の「パ・リーグ○×予想」答え合わせ 今季の注目選手たちの活躍を独自の視点で分析

大利実

「日本の宝」なだけに起用法はより慎重に?

完全試合を達成したことで、首脳陣がより大事に起用するようになったのかもしれないと鳥谷氏は話す 【写真は共同】

千葉ロッテ:佐々木朗希が15勝以上を挙げる
3月の鳥谷氏の予想「○」

3月時点での鳥谷氏の見解

「15勝挙げると思います。ヤクルトの奥川投手と同じように、「1年間ローテを守れれば……」という条件が付きますが、ローテに入れば、15勝ぐらいは普通にする力を持っています。ピッチングのすごさは誰が見てもわかると思いますが、一緒にいて感じたのは「野球に対する意識の高さ」です。トレーニング、食事、サプリメントなど、すべてのことを野球のために使っていて、とても20歳とは思えませんでした。体格や才能に恵まれているだけでなく、考え方も優れています」

佐々木朗希7月24日時点での成績
勝利 6(6位) 防御率 1.48(規定投球回未満) 奪三振 124(2位)

――完全試合を達成するなど圧倒的なポテンシャルを見せた佐々木朗希投手ですが、勝ち星は6勝に終わりました。鳥谷さんの見立ては、「15勝以上はする」とのことでしたが……。

 すみません、さすがにもう難しいですね。念のため補足をさせてもらうと、「1年間、ローテーションを守ることができたら」という話でしたが、首脳陣に非常に大事に使ってもらっています。

――首脳陣の無理をさせない起用が印象的です。

 もともと、「日本の宝」と呼んでいいぐらいの素材でしたが、完全試合をしたことで、その価値がより高くなりました。もし、無理な起用で、ケガでもしてしまったら、取り返しがつかないことになります。目先の勝ち星よりも、将来的に日本を代表するピッチャーになるために、じっくりと育成をしている段階だと感じます。

――二けた勝利はどうでしょうか?

 勝利数は打線との兼ね合いも出てくるところですが、前半戦のピッチングを続けることができれば、登板間隔を空けたとしても、二けたは勝てると思います。

好不調の波がおさえていくことが今後の課題

試合に出続けることができれば20本塁打を打つ可能性はあると鳥谷氏は見るが… 【写真は共同】

日本ハム:清宮幸太郎が20本塁打を打つ
3月の鳥谷氏の予想「×」

3月時点での鳥谷氏の見解

「打ってほしい気持ちはありますけど、現状では難しいと思います。なぜなら、1年間レギュラーとして試合に出るイメージが、まだ湧かないからです。ポジションの兼ね合いもあり、レギュラーを獲るには競争が必要。もし、スタメンを勝ち取って、年間通してフルで出られるのなら、20本打つだけの力は持っています。飛距離はズバ抜けたものがありますから」

清宮幸太郎7月24日時点での打撃成績
打率.226(規定打席未満) 本塁打11(6位) 打点24(24位)

――BIGBOSSが期待を寄せる清宮幸太郎選手は、11本塁打で前半戦を終えました。20本塁打の可能性はまだ残っていますが、シーズン前の鳥谷さんの予想は「×」でした。

 後半戦、試合に出続けることができれば、20本以上打つ可能性は十分にあります。ただし、打率が高いわけではなく、ファーストの守備にも不安が残るので、どこまで我慢して使ってもらえるのか。清宮選手を育てる意味で使い続ける策もあるとは思いますが、新庄剛志監督がどんな考えを持っているのか、興味が湧くところです。

――ホームランを打っている映像だけ見ると、とてつもないスラッガーに見えるのですが、課題はどこにあるのでしょうか?

 たしかに、「ホームラン集」を編集したら、とんでもないバッターに見えると思います。課題は、調子がいいときと悪いときの差が激しすぎることです。中間の状態がなかなかありません。たとえば、1アウト三塁で内野が後ろに守っていて、バットに当てれば1点が入りやすい状況で、空振り三振を喫してしまう。状態が悪いときの引き出しが、まだまだ少ないと感じます。こうなると、ベンチとしてもなかなか使いにくいのではないでしょうか。

(企画構成:株式会社スリーライト)

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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