今夏のサッカーインターハイは混戦模様 青森山田の対抗馬となりそうな学校は?

平野貴也

連覇を狙う青森山田も上位候補だが、今季は混戦が予想される 【平野貴也】

 全国高校総体(インターハイ)のサッカー競技男子は、24日に開幕を迎える。昨季は、青森山田高校(青森)が決勝戦以外は3点差以上をつける勝ち上がりで優勝。その後もユース年代最高峰のプレミアリーグEAST、冬の全国高校選手権でも優勝を飾り、3つのタイトルを獲得して「一強」を印象付けた。しかし、今季は一転して混戦模様だ。

連覇を狙う青森山田、不安定ながらも復調気配

 連覇を狙う青森山田は、プレミアリーグEASTで3位につけており、今季も上位候補に挙げられる。ただし、開幕3連勝の後に5連敗を喫するなど、昨季ほどの安定感はない。昨季のチームが3年生中心だったこともあり、メンバーが大きく入れ替わっている。22年連続の全国出場を決めた黒田剛監督は「全国では、まず1勝できるように頑張っていきたい。(目標は)優勝なんて言えるレベルにはまだまだない。下手な選手が急に上手くなるわけではないけど、戦えるチームにはしていきたい」と殊勝なコメントを残した。しかし、直近ではプレミアリーグで3勝1分と再び勝点を重ねている。伝統のロングスロー戦術は、今年も健在。6月の東北大会では、負傷で離脱中だった主将のDF多久島良紀(3年)が復帰。今年のチームの勝ち方を身につけ、調子を持ち直している。

タレント揃いの前橋育英や神村学園も上位候補

前橋育英高校もプレミアリーグEASTで上位で優勝候補の一角 【平野貴也】

 プレミアリーグEASTで青森山田と勝点1差の4位につけている前橋育英高校(群馬)も優勝候補の一角で、力の差はない。リーグ戦の直接対決では3-2で青森山田に勝っている。2年生だった昨季も主力だったU-18日本代表MF徳永涼(3年)が中心。ダブルボランチを組んでいたMF根津元輝(3年)の負傷離脱が続いているが、3月のサニックス杯ユースサッカー大会で得点王に輝いた攻撃的MF青柳龍次郎(3年)がポジションを一つ下げてフィット。ボール奪取、ドリブルでの前進、パスによるゲームメイクと幅広いプレーは、山田耕介監督も「このままだと元輝が戻ってきても……」と評価するほどで、代役とは表現できない活躍を見せている。U-17日本代表FW小池直矢(3年)は、周囲との連係を巧みに使いながら、今季初めて挑戦しているプレミアリーグでもチーム最多の5得点をマーク。「個で決められる選手になりたい。プレミアでも通用している」と自信を深めている。

 西日本では、プリンスリーグ九州で無敗の神村学園高校(鹿児島)が注目される。FW福田師王(3年)は国内外でプロクラブの争奪戦が展開されている、世代最高評価のストライカー。右足を痛めており、県大会後の九州大会ではプレータイムを制限。6月はリーグ戦を休んだ。インターハイには間に合う見込みだが、どのようなコンディションで臨むか注目される。主将を務めるMF大迫塁(3年)は、来季のC大阪加入が内定。攻守の柱としてチームをけん引する。福田、大迫ともに1年次からチームの主力。注目され続けた2人の逸材が最高学年を迎え、過去最高ベスト4の更新、そして初の日本一を狙う。主将の大迫は「目標は、もちろん優勝」と話し、エースの福田も「自分の価値を証明する大会」と意気込んでいる。

 ほかにも注目チームがある。昨年の全国高校選手権で準優勝の大津高校(熊本)は、プレミアリーグWESTで12チーム中11位と苦しんでいるが、中央を固める守備、サイドからのアタックという基本戦術を徹底しながら戦うことでチームがまとまってきている。U-19日本代表の長身FW小林俊瑛(3年)は「攻撃は声を掛け合って改善してきている。昨年、準優勝で終わって、今年こそはとみんなが思っている。最初のチャンスが夏。個人としては、クロスへの入り方は昨年より改善できているし、得点王を狙っている」と手応えを話した。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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