タイブレークや球数制限は必要か?佐々木朗希の登板回避は… 渡辺元智と前田三夫が真剣討論
高校球児を指導する現場は、昔と比べ、どのように変化しているのか。渡辺元監督が説く、望ましいチーム作りとは 【撮影:白石永(スリーライト)】
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名将が若い世代の指導者に伝えたいこと
渡辺 時代がどんどん変わり、環境も変わってきて、最近は野球もどんどん変わってきています。一番思うのは“個人主義”になっていることです。以前は「俺についてこい!」っていう中で監督が厳しくやっても選手がついてきて、そんな選手たちを監督がまとめて戦ってきました。でも今は、選手が「自分だけ良ければいい」という風潮になって、チームがバラバラになっています。“ワンチーム”になれていない。以前のような指導は難しくなっています。
そんな“個人主義”になっている選手をまとめるにはどうしたらいいか、それには個人をうんと伸ばしてチームに還元する、生かす、という考えです。選手も監督に厳しく指導されない中、「自分でやらなきゃいけない」と感じれば一生懸命やるでしょう。でもそうすると、今度は、いくら良い采配ができても、“個”をまとめられる監督に、“選手という人間を束ね、まとめる力”がないと、“チーム”を作っていくことはできないです。難しい時代です。
前田 渡辺さんから“個人主義”という言葉が出ましたが、今は、“選手ファースト”です。以前は選手を鍛えて追い込んでチームを2年数カ月で作ることができた。でも、今は鍛え上げようとしても時代的なこともあり、追い込めない。何のために監督がいるんだってことを考え、選手に問いかけ、働きかけ、自分で気付いていくことを期待して待つしかない。ここ数年は未完成のまま最後の夏を迎えていましたね。難しくなっています。
渡辺 高校野球はプロ野球など成人した大人の野球とはまた違います。一番持ちこたえられる中学生、高校生の頃に我慢を教えていくことで、人間としての土台を作ることができたんですが、厳しく指導できない昨今、いつ我慢を教えるのか……。
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