日本の「中3日プラン」は破綻している? チュニジア戦で露呈した特定選手への依存
キリンカップサッカー決勝の相手はチュニジア。試合会場のパナソニックスタジアム吹田は、あいにくの雨だった 【宇都宮徹壱】
プレーオフに勝利したオーストラリアと本大会を見据える日本
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ドイツ戦やスペイン戦を想定した、欧州勢とのマッチメークはできなかったものの、ここまでの日本は非常に良いシミュレーションができていると思う。個々の結果や内容はともかく、この6月シリーズの4試合をトータルで考えたとき、その設計に関してはポジティブに評価されてしかるべきだろう。何より「中3日での戦い方」について、さまざまなシミュレーションができたのは大きかった。
奇しくも20年前の6月14日は、2002年W杯で日本はチュニジアと対戦、2-0で勝利している。当時の日程を振り返ると、ベルギー戦が6月4日でロシア戦が6月9日。いずれも中4日での対戦だったので、日本はグループステージ3試合をほぼスタメン固定で戦うことができた。しかし今回のカタール大会は、いずれも中3日。第1戦がドイツ、第3戦スペインとなると、第2戦は大幅なターンオーバーが濃厚だろう。
この6月シリーズで森保一監督は、2つのグループを準備して交互に試している。なるべく多くの選手にチャンスを与え、さまざまな組み合わせにトライしたい思いもあっただろう。その一方で、本大会の中3日での戦い方を、この4試合でシミュレーションしようとする意図は明確。このチュニジア戦は「キリンカップ決勝」という意味合い以上に、グループステージ第3戦を意識した戦いになると見られていた。
遠藤と吉田が狙われ、三笘のドリブルも封じられた
後半途中から出場した三笘(右)は得意のドリブルで見せ場を作ったものの、チュニジアに研究されていた感は否めなかった 【Photo by Kaz Photography/Getty Images】
日本のスターティングイレブンは以下のとおり。GKシュミット・ダニエル。DFは右から長友佑都、板倉滉、吉田麻也、伊藤洋輝。中盤はアンカーに遠藤航、インサイドに原口元気と鎌田大地、右に伊東純也、左に南野拓実。そして1トップは浅野拓磨。ガーナ戦からメンバーを8人替えたオーダーとなった。
前半は日本がチャンスを作り、ゲームを支配しているように見えた。ところが記録を見ると、前半の日本のシュートはゼロ。前半28分に南野、35分に鎌田がビッグチャンスを迎えるが、いずれもミスキックとなってしまう。そんな中、チュニジアは遠藤からの配球を封鎖。さらにはデュエル王からボールを奪って、ショートカウンターからチャンスを作ろうとさえした。前半は0-0で終了。
ハーフタイム、日本ベンチは原口に替えて田中碧をピッチに送る。中盤の構成が変わったことで、遠藤へのプレッシャーは軽減された。すると今度は、日本のディフェンスの裏が狙われるようになる。後半8分の吉田によるPK献上は、そうしたチュニジアの戦術変更が奏功する形で生まれた。これをモハメド・アリ・ベン・ロムダンにきっちり決められ、日本は後半10分に先制点を許してしまう。
後半15分、日本は鎌田と浅野を下げて、三笘薫と古橋亨梧を投入。しかしチュニジアは、三笘対策もしっかり用意していた。ドリブルで1枚目をはがされても、2枚目がクロスをブロックし、さらに3枚目がクリア。日本の攻撃が手詰まりを見せる中、またしても日本のキャプテンが狙われる。
後半31分、チュニジアGKからのロングボールが吉田の背後に落下。対応が遅れてユセフ・ムサクニにボールを奪われ、最後はフェルジャニ・サシがネットを揺らした。さらにアディショナルタイムには、ハーフウェイライン付近でイーブンになったボールを吉田が回収できず、イサム・ジェバリのドリブル独走を許してゴラッソを決められてしまう。0-3という、誰も予想しなかったスコアで、日本はチュニジアに屈した。