日本の「中3日プラン」は破綻している? チュニジア戦で露呈した特定選手への依存

宇都宮徹壱

「代わりの選手にも経験を積んでもらって」と言うけれど…

試合後の会見に応じる、チュニジア代表のジャレル・カドリ監督。日本の長所と弱点について的確に言及していた 【宇都宮徹壱】

 試合後の表彰式。キリンカップ優勝を果たした、チュニジア代表の選手たちの喜びようは、こちらの想像の斜め上を行くものであった。この大会に照準を合わせて、いかに彼らが情熱を傾けてきたのかがダイレクトに伝わってくる。そんな中、チームを率いたジャレル・カドリ監督は、試合後の会見でこう述べていた。

「日本の長所はスピードがあること、攻撃の際にさまざまな戦術があること、特にサイドからの攻撃がうまいこと。ただし時間の経過とともにスペースが生まれるので、そこを突くように指示した。また、中盤での速いパス回しをさせないよう、中盤での勝負がポイントだった。日本の弱点を挙げるとすれば、ディフェンスが難しい状況に置かれるとミスすること。だから(最終ラインの)裏にボールを付けるように意識した」

 現状の日本をほぼ的確に分析し、入念に対策を考えて実行してきたことが、よく理解できる内容。これまで「なあなあ」にされてきた日本の課題が、チュニジアのおかげで言い訳できないほど明確になった。とりわけ深刻なのが「特定選手への依存」。このシリーズでいえば、4試合に出場していた吉田(合計270分)と遠藤(同294分)である。パラグアイ戦とガーナ戦でも、この2人は完全オフとはならなかった。

 いずれにせよ、本大会を見据えた中3日のプランは、現状のままでは破綻する可能性が高い。森保監督は「すべての時間で彼らにプレーさせるのではなく、代わりの選手にも経験を積んでもらって」と語っていたが、その経験を積んでもらう機会は、ほとんどないのが実情。また、吉田の裏を狙われたことについては「いい形で攻撃の時間を長くできれば、相手が背後を突くことは少なくなると思います」。とはいえ、ドイツやスペインを相手に、どこまで「いい形で攻撃の時間を長くできる」と考えているのだろうか。

 カタールで行われた大陸間プレーオフでは、コスタリカがニュージーランドに1-0で勝利。これですべての本大会出場国と、日本の第2戦の相手が確定した。コスタリカのFIFA(国際サッカー連盟)ランキングは31位で、チュニジアの35位よりも上。チュニジアが目標としている、ベスト16も経験済みだ。次のFIFAマッチデーは9月。そのとき、われわれは、自信にあふれた日本代表を目にすることができるだろうか。

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著者プロフィール

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著に『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)

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