0-1に終わったブラジル戦は「惜敗」? あらためて浮き彫りになった日本の課題
改修後の国立競技場での最初の国際Aマッチに登場したのはブラジル。もちろんネイマールもスタメン出場 【宇都宮徹壱】
FIFAランキング1位のブラジルとの対戦をどう見るか?
6月6日に東京・国立競技場において開催される、日本代表vsブラジル代表の親善試合。ブラジル代表のチッチ監督は、前日会見で試合の重要性をこのように表現している。日本とブラジルとの対戦は17年以来5年ぶり。国立での代表戦は14年以来8年ぶり(改修後はもちろん初)。そして、国立でのブラジル戦は1999年以来23年ぶり。こうした希少性もあり、チケットはおよそ1時間で売り切れとなった。
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しかし周知のとおり、18年から始まったUEFA(欧州サッカー連盟)ネーションズリーグの影響により、今ではブラジルでさえもヨーロッパ勢と手合わせするのが困難な状況となっている。森保一監督体制になって以降、日本の国際Aマッチは先のパラグアイ戦を含めて49試合。その内訳は、アジアが30、南米が10、北中米カリブが6、アフリカが2、そしてヨーロッパが1。唯一の対戦は、昨年6月のセルビア戦のみである。
前回大会までは、本大会に向けての「仮想●●」的な強化試合が比較的容易だった。ところが、ヨーロッパがクローズドな状態になってしまったことで、マッチメイクの選択肢は恐ろしく狭まってしまった。かくして、カタールでは南米勢と対戦しない日本と、同じくアジア勢と対戦しないブラジルとが、残り少ないAマッチを使って対戦することとなったのである。
守備陣が健闘するもネイマールのPKで敗戦
右サイドでスタメン出場した長友(右)はビニシウスとしばしばマッチアップした 【Photo by Masashi Hara/Getty Images】
一方のブラジルは、4日前の韓国戦でほぼフルメンバーを出してきたが、ダニ・アウベス、カゼミーロ、ネイマールら6人は連続出場。注目のビニシウスもスターティングリストに名を連ねた。試合前、セレソンのメンバーがピッチに姿を現すと、日本代表以上にスタンドから歓声が沸く。この日の客層がよく理解できるシーンであった。
開始早々、いきなりポストを直撃されるピンチはあったが、序盤の日本はまったく物怖じせずにブラジルと向き合っていた。試合の主導権を握ったのは、もちろんブラジル。ネイマールの異次元的な技術、ビニシウスの突破力、そしてラフィーニャのセットプレー。何度となくヒヤリとさせられるシーンを作られたが、果敢なプレッシングと最終ラインの的確なブロック、そして権田のビッグセーブで前半を0-0で終えた。
ハーフタイム、日本は原口に代えて鎌田大地をピッチに送り出す。しかし、ブラジル優位という状況に変わりはない。そんな中、攻守にわたって際立った働きを見せていたのが、15年以来の右サイド起用となる長友だった。対面するビニシウスを好きにさせず、縦ラインでの伊東との連動から、たびたび逆襲を試みている(ビニシウスはシュートゼロのまま、後半18分でベンチに退いた)。
これまでのブラジルとの対戦成績は、12戦して日本の0勝2分け10敗。攻撃力では明らかに見劣りするものの、さりとてブラジル相手に何とか守備は維持できている。05年のコンフェデレーションズカップ(2-2)以来のドローも、もしかしたらあり得るのではないか――。そんな淡い夢を抱いた刹那、日本はPKを献上してネイマールにやすやすと決められてしまう。後半32分のことであった。
この間、日本ベンチは前田大然、堂安律、三笘薫といった攻撃の切り札を相次いで投入。とりわけ三笘とエデル・ミルトンとのマッチアップは、非常に見応えがあるものとなったが、日本はネットを揺らすどころか枠内シュートさえ容易ではない。そのままブラジルが逃げ切る形で、日本の敗戦が決まった。